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企業型DCの商品一覧、どこを見る?一番差がつくのは信託報酬

目次

  1. 掛金が、まだ運用されていないかもしれません
  2. DCは制度、商品はその中身
  3. 何に投資するかで分かれる
  4. どう運用するかで分かれる
  5. 商品選びで一番差がつくのは信託報酬
  6. この連載でいう「良い商品」とは
  7. 一覧にない商品を持っている場合
  8. まとめ
  9. 参考

こんにちは、みやしょーです。

企業型DCで選べる運用商品を、1本ずつ見ていく連載を始めます。

エージェントグローが使っているSBI証券の企業型DCでは、定期預金2本と投資信託34本、合わせて36本から選びます(SBI証券)。
多すぎて選べない、という声もよく聞きます。

ただ見方さえ分かれば、36本は見た目ほど複雑ではありません。
初回の今回は、商品を1本ずつ見ていく前に、前提となる「見方」をまとめます。
商品の分かれ方、商品選びで一番差がつく手数料、そしてこの連載が何を基準に「良い商品」と判断するか、の3つです。
商品一覧には、資産の種類・運用スタイル(パッシブ/アクティブ)・信託報酬・信託財産留保額が並んでいます。
この記事を読めば、それぞれの欄が何を意味するのか分かります。

掛金が、まだ運用されていないかもしれません

本題の前に、ひとつだけ確認してほしいことがあります。

自分で初回ログインをして商品を選ばないと、掛金は現金のまま放置されます。

入社時に資料をもらったまま、何もしていない。
そういう方は少なくないと思います。
その場合、毎月の掛金はどの商品も買わずに、ただ積まれているだけです。
なお、会社によっては、しばらくすると会社が決めた商品(指定運用方法)が自動で買われる場合もあります(SBIベネフィット・システムズ)。
ただ、それが自分に合った商品とは限りません。

現金のまま置かれていると

増えません
減りもしません
でも物価が上がれば、買えるものは減っていきます

インフレの記事で書いたとおり、現金で置いておくこと自体がリスクになる時代です。

しかもこれはログインして商品を選ぶだけで解決します。
この連載を読み進める前に、まず自分の状態を確認してみてください。

DCは制度、商品はその中身

よく混同されるのですが、「企業型DC」は制度の名前であって、商品の名前ではありません。

DCは税制上の優遇が受けられる入れ物です。
その中で何を買うかは、自分で選びます。
同じDCでも、定期預金を選ぶ人と全世界株式を選ぶ人では、30年後の結果はまったく違います。

選べるのは大きく2種類です。

種類 中身
元本確保型(2本) 定期預金。金額は減らないが、増え方は小さい。物価の上昇には負けることもある
元本変動型(34本) 投資信託。増えることも減ることもある

投資信託とは、たくさんの人からお金を集めて、運用の専門家がまとめて何百社もの株式や債券に投資してくれる仕組みです。
1本買うだけで分散投資ができます。

そのかわり運用してもらう手数料(信託報酬)がかかります。
これは持っているあいだ、毎年かかり続ける手数料です。
これが後で効いてきます。

何に投資するかで分かれる

34本の投資信託は、何を買うかで分類されています。

資産 どんなものか
株式 会社の持ち分。値動きは大きいが、長期の成長が期待できる
債券 国や会社への貸付。値動きは小さいが、増え方も小さい
REIT 不動産。賃料収入がもとになる
ゴールド 金。利息は生まないが、有事に買われやすい
バランス型 上の複数を、決められた割合で詰め合わせたもの

さらにどこの国かでも分かれます。
国内か、先進国か、新興国か、全世界か。

海外の資産を買う場合は為替の影響も受けます。
同じ商品でも、円安なら値上がりし、円高なら値下がりします。
この仕組みは以前の記事で詳しく書いたので、そちらをご覧ください。

どう運用するかで分かれる

もうひとつの分かれ道が運用の方法です。

インデックス(パッシブ)
日経平均やS&P500などの指数と同じ動きを目指す
決まった銘柄を決まった比率で買うだけなので、手数料が安いアクティブ
指数を上回ることを目指す
人が調べて銘柄を選ぶので、手数料が高い

アクティブは「うまくいけば指数より増える」商品です。
ただし上回る保証はありません。

実際の成績も調べられています。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの調査では、過去10年でベンチマークを下回ったアクティブファンドの割合はこうでした。

対象 アクティブが指数に負けた割合(10年)
日本の大型株 8割以上
海外株式(グローバル株式・国際株式) すべて(100%)

出典:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA日本スコアカード 2025年末版」(2026年3月発表、発表資料)。
日本で販売されているアクティブファンドを、2025年12月末までの10年間の成績で集計したものです。

プロが選んでも、大半は指数に届いていません。
海外株式のアクティブファンドでは、10年で指数を上回れたものはありませんでした。
アクティブを選ぶなら、この事実を知ったうえで選ぶべきだと思います。

商品選びで一番差がつくのは信託報酬

36本で、手数料は34倍の開き

投資の結果を一番左右するのは、商品より比率(株式をどれだけ持つか)です(アセットアロケーションの記事)。
そのうえで、同じ種類の商品どうしを比べるとき、一番大きな差になるのが信託報酬です。

36本の中で、一番安い商品と一番高い商品を比べてみました。

商品 信託報酬(年・税込)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 0.05775%
ハリス グローバル バリュー株ファンド(旧・朝日Nvest グローバル バリュー株オープン) 1.98%

出典:三菱UFJアセットマネジメント(目論見書)、朝日ライフ アセットマネジメント

34倍の開きです。

「たかが数%」と思うかもしれませんが、信託報酬は資産全体に毎年かかり続けます。
月5万円を30年積み立てた場合で計算してみました。

信託報酬 30年後の資産額
0.05775% 6,031万円
0.5% 5,531万円
1.0% 5,023万円
1.98% 4,177万円

月5万円・30年・信託報酬を引く前が年7%だった場合の試算です。

同じ成績だったとしても、1,854万円の差がつきました。
元本1,800万円に対して、です。

同じ成績と仮定したのには、理由があります。

信託報酬は確実にかかります。
成績が良くても悪くても、毎年同じだけ引かれます。
一方で過去の騰落率は、将来を保証しません。
去年30%増えた商品が、来年も増えるとは限りません。

確実なコストと、不確実なリターン。
比べる価値が高いのは前者です。

1.98%は「資産の2%」ではありません

1.98%という数字は、比べる相手を間違えると小さく見えます。
比べるべき相手は資産ではなく、その資産が生む利益のほうです。

年7%で増える商品から1.98%が引かれると、手元に残るのは5.02%。

信託報酬 手元に残る 利益が減る割合
0.05775% 6.94% 1%
0.836%(ひふみ年金) 6.16% 12%
1.98% 5.02% 28%

信託報酬を引く前が年7%だった場合です。

1.98%は、資産の2%ではなく、毎年の利益の約3割です。

30年の総額で見ると、もっとはっきりします。

月5万円を30年 = 元本1,800万円
手数料がゼロなら6,100万円。
増えた分は4,300万円信託報酬0.05775%
増えた分 4,231万円(手数料で消えたのは69万円)

信託報酬1.98%
増えた分 2,377万円(手数料で消えたのは1,923万円)

元本1,800万円は、もともと自分のお金です。
増えた分だけが運用の成果になります。

その成果が4,300万円のところ、1.98%の商品では4割以上の1,923万円が手数料に消えます。
毎年の利益の約3割を削られ、削られた分がその後に生むはずだった利益も失うので、30年では4割以上になります。

「2%くらい」と思える数字ではありません。

手数料は信託報酬だけではありません

投資信託の手数料は、かかるタイミングで3つに分かれます。

買うとき|購入時手数料
→ 企業型DCでは全商品かかりません持っているあいだ|信託報酬
→ 毎年かかり続ける。
商品によって34倍の開き

売るとき|信託財産留保額
→ 36本のうち6本にかかります

このうちずっと効き続けるのが信託報酬です。
購入時手数料は、証券会社のサイトで同じ商品を見ると表示されることがあります。
たとえばハリス グローバル バリュー株ファンドは、DCの外で買うと最大3.3%かかります。
DCの中では無料なので、混同しないようご注意ください。

信託財産留保額がかかるのは次の6本です。

商品 売るときに引かれる
ハリス グローバル バリュー株ファンド 0.30%
セレブライフ・ストーリー2025/2035/2045/2055 各0.30%
SBI資産設計オープン(資産成長型) 0.15%

残る投資信託28本と、定期預金2本はかかりません。
スイッチングで商品を入れ替えるときにも引かれるので、途中で変える可能性があるなら覚えておくとよい項目です。

この連載でいう「良い商品」とは

4つの判断基準

これから商品を1本ずつ見ていきますが、先に判断基準を示しておきます。
基準が分かっていれば、私の結論に納得できない場合も、自分で判断し直せるからです。

この連載での「良い商品」

① 信託報酬が低い
確実に引かれ続けるコストなので、低いほど有利

② 純資産が十分にある
小さすぎると、途中で運用をやめてしまうことがある

③ 長期の積立に向く
何十年も持ち続けられる中身かどうか

④ 指数とのズレが小さい
狙った指数にきちんと連動しているか

見てのとおり、これはインデックス投資を前提にした基準です。
④の「指数とのズレ」は、そもそも指数を目指していないアクティブには当てはまりません。

アクティブを否定するわけではありません。
ただ私自身は、これまでの記事で書いてきたとおり、相場を読もうとしない立場です。

アクティブを扱う回では、「高い手数料に見合う理由があるか」という視点で見ていきます。

良いと思う商品は少ないのに、なぜ36本を全部見るのか

2022年の記事で、私は「現金・債券・バランス型・不動産は候補から外す」と書きました。

この考えは、いまも変わっていません。
現役世代の企業型DCとNISAは、オルカンかS&P500の1本で十分だと思っています。

それでも、一覧に並んでいる以上、それぞれが何なのかは知っておいたほうがいいと思います。
この連載では商品を1本ずつ、その商品が属するアセット(資産の種類)の性質とあわせて紹介していきます。

債券とは何か。
バランス型は中で何をしているのか。
ゴールドはなぜ株式と違う動きをするのか。
性質が分かれば、「選ぶ理由」も「選ばない理由」も自分で判断できます。

良いと思う商品が少ないのに全部を見るのは、結論だけ渡すのではなく、判断できる材料を渡したいためです。

一覧にない商品を持っている場合

自分の保有商品を見て、この連載に出てこない商品が入っている方もいると思います。

それは閉鎖型と呼ばれる商品です。
2026年10月時点で12本あります。

閉鎖型とは

新たに購入することはできません
すでに持っている分は、そのまま持ち続けられます
スイッチングで売却し、いまの商品に移すこともできます
ただし一度売ると、その商品は二度と買い戻せません

移す場合の操作で、間違えやすい点があります。

加入者サイトの「スイッチング(預け替え)」から、売る商品と買う商品を指定します。

似た名前の機能に「配分割合の変更」がありますが、こちらはこれから入ってくる掛金の買い先を変えるだけです。
すでに持っている分は移りません。

両方やらないと、古い商品を持ったままになります。

まとめ

  • 商品を選ばないと、掛金は現金のまま置かれる
  • 36本は「何に投資するか」と「どう運用するか」で分かれている
  • 商品選びで一番差がつくのは信託報酬。同じ成績でも、30年で1,854万円の差になる
  • この連載の基準は「低コスト・十分な純資産・長期向き・指数とのズレが小さい」

次回からは、実際の商品を1本ずつ見ていきます。
まずは全世界・先進国・米国の株式インデックス5本から。
「外国株式」と「先進国株式」は何が違うのか。
商品名の読み方の話になります。

その前に、まず企業型DCで、いまの保有商品を確認してみてください。
まだ何も選ばれていない場合は、企業型DCの始め方を参考にしてください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

※商品構成は2026年10月時点のものです。商品の入れ替えや信託報酬の改定があるため、最新の情報は加入者サイトでご確認ください。
※信託報酬による試算は、同じ運用成績だったと仮定した場合の比較です。実際の成績は商品ごとに異なり、元本割れの可能性もあります。
※年7%は物価上昇を差し引く前の数字です。物価が年2%上がるとすると、実質では年5%にあたります。
※この記事は個人の考えにもとづくものです。特定の商品をすすめるものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。

参考

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{ この記事を書いた人 }

みやしょー

心理学、健康、お金など、生活に役立つ知識を得るのが趣味です。
FP3級・簿記3級を取得しており、学んだ知識を日々の暮らしや資産形成に活かしています。
インプットだけでは身につかず、使える知識にはならないと感じたため、学んだことをアウトプットしていきます。
「もっと早く知りたかった」「どうして周りの人は誰も教えてくれなかったんだろう」と思うことが本当に多くありました。
そんな大事だと思った知識を、このブログに備忘録としてまとめていく予定です。
よろしくお願いします。

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