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調整と暴落は何が違うのか|下落率で見分ける2つのものさし

目次

  1. 「下落」には2つのものさしがある
  2. 高値からの下落率で呼び名が決まる
  3. どのくらいの頻度で起きるのか
  4. 1日の値動きは、何%からが異常なのか
  5. 大きな暴落ほど、実はゆっくり進む
  6. 違いを知ると、何が変わるのか
  7. まとめ
  8. 参考

こんにちは、みやしょーです。

以前の記事では、下落が来ても売らないための考え方を書きました。

今回はその手前の話です。
そもそも、いま起きている下げはどれくらい大きいことなのか。

実は下落には数字で決まった呼び名があります。
高値から10%下がれば「調整」、20%下がれば「暴落(弱気相場)」です。

この線引きを知っておくと、ニュースを見て必要以上に慌てずに済みます。

「下落」には2つのものさしがある

「今日は株価が下落しました」と言うとき、その中身はバラバラです。

1日で2%下がったことを「下落した」と言う人もいます。
一方、リーマンショックのように高値から57%下がったことも「下落」と呼ばれます。

片方は1日の出来事で、もう片方は1年5ヶ月かけて進んだ出来事です。
同じ言葉ですが、測っているものも規模もまるで違います。

ここが分かりにくさの正体でした。
下落には、まったく別の2つのものさしがあるからです。

下落を測る2つのものさし

① 高値からの下落率(積み重なった下げ)
→ いまが調整なのか暴落なのかが決まる

② 1日の下落率(その日1日の下げ)
→ その日が日常なのか異常事態なのかが決まる

この2つを混ぜて考えると混乱します。順番に見ていきます。

高値からの下落率で呼び名が決まる

まず1つめのものさしです。

こちらは直近1年(52週)の高値からどれだけ下がったかで呼び名が決まります。

高値からの下落率 呼び名
10%未満 特に名前はない(通常の値動き)
10%以上 調整(調整局面)
20%以上 弱気相場(一般に「暴落」と呼ばれる)

ニュースで「弱気相場入り」と報じられるのは、この20%を超えたときです。
日本経済新聞でも「株価下落率2割超え」が弱気相場入りの目安として説明されています。

つまり調整と暴落の境目は、10%と20%。感覚ではなく、数字で決まっています。

ただしこちらは法律などで定められたものではなく、市場で広く使われている慣習的な区分です。
次に見る2つめのものさしとは、その点が違います。

どのくらいの頻度で起きるのか

では、それぞれどのくらいの頻度で起きるのでしょうか。

米国の運用会社キャピタル・グループが、S&P500の1954年から2024年までの70年分を集計しています。

下落幅 起きる頻度 平均の期間
5%以上 年に約2回 約46日
10%以上(調整) 約18ヶ月に1回 約135日
15%以上 約3年に1回 約256日
20%以上(弱気相場) 約6年に1回 約402日

出典:Capital Group「Market declines — A little history」(英語・S&P500・1954〜2024年)

この表を見て、私は少し気が楽になりました。

調整は約18ヶ月に1回です。
老後資金として30年積み立てるなら、その間に20回ほど経験する計算になります。
珍しい事件ではなく、定期的に来るものだと分かります。

弱気相場(暴落)も約6年に1回
30年なら5回です。
こちらも「いつか来るもの」として最初から織り込んでおけます。

1日の値動きは、何%からが異常なのか

ここからが2つめのものさし、1日の下落率です。

実はこちらには市場が決めた明確な線があります。
米国株式市場のサーキットブレーカーという仕組みです。
S&P500が前日の終値から一定以上下がると、取引そのものが止まります。

1日の下落率 措置
7% 15分以上の取引停止
13% さらに15分以上の取引停止
20% その日は取引終了

出典:ニューヨーク証券取引所「Market-Wide Circuit Breakers FAQ」(英語・7%と13%は取引終了間際には発動しません)

つまり市場自体が「1日7%からは異常事態」と定義しているわけです。

直近では2020年3月のコロナショックで、3月9日・12日・16日・18日と、1ヶ月のあいだに4回も発動しました。
それ以前は20年以上発動していなかったので、いかに異常な事態だったかが分かります。

そして、こうした日は本当にめったに起きません。
1923年からの100年あまりで、1日の下落率が大きかった日を並べるとこうなります。

日付 1日の下落率
1987年10月19日(ブラックマンデー) -20.5%
1929年10月28日(世界恐慌) -12.3%
2020年3月16日(コロナショック) -12.0%
2020年3月12日(コロナショック) -9.5%
2008年10月15日(リーマンショック) -9.0%

出典:Wikipedia「List of largest daily changes in the S&P 500 Index」(英語・S&P500の算出開始は1957年のため、それ以前は前身の指数)

1日に9%以上下げた日は、100年あまりでわずか8日だけです。
すべて教科書に載るような出来事ばかりでした。

ここから、こんな目安が見えてきます。

1日の下落率の目安

-1% … 日常
-2% … やや大きい日
-3% … ニュースになる
-5% … 市場が騒然とする
-7% … 取引が止まる(異常事態)
-10%超 … 歴史に残る

1日2%の下げは、毎日値動きを見ていると大事件に見えます。でも位置づけとしては「やや大きい日常」です。

そもそもインデックス投資では積立の設定さえしてしまえば、毎日値動きを見る必要はありません。
見ないほうが続けやすいと思います。

大きな暴落ほど、実はゆっくり進む

「2%の下げが毎日続いたらどうしよう」と不安になるかもしれません。
私も最初はそう考えていました。

でも過去の暴落を1日あたりに直してみると、意外な事実が見えてきます。

暴落 下落期間 下落率 1日あたり
コロナショック 1ヶ月 -33.9% 約-2%
ブラックマンデー 3ヶ月 -33.5% 約-0.6%
リーマンショック 1年5ヶ月 -56.8% 約-0.2%
ITバブル崩壊 2年7ヶ月 -49.1% 約-0.1%

下落期間と下落率の出典:三井住友DSアセットマネジメント「米国株はいつ下げ止まるか」(1日あたりは月21営業日として筆者が計算)

「毎日2%下がる」に当てはまるのはコロナショックだけでした。しかもそれは史上最速の下落で、1ヶ月で底を打っています

理由は逆算すると分かります。
毎日2%ずつ下がると、21営業日(約1ヶ月)で-35%、42営業日で-57%
たった2ヶ月でリーマンショック級に到達してしまいます。
そんなペースは物理的に続きません。

そして一番意外だったのが、リーマンショックは1日あたり-0.2%だったことです。
最終的に57%も下がったのに、日々の値動きは驚くほど静かでした。

大きな暴落ほど、実はゆっくり進みます。ドカンと落ちる日は短期間で終わり、じわじわ進む下げは長く続く。
この関係を知っておくと、目の前の値動きに振り回されにくくなります。

違いを知ると、何が変わるのか

正直に言うと、やることは変わりません。
調整でも弱気相場でも、インデックスの積立投資なら「止めずに続ける」で同じです。

変わるのは気持ちのほうです。

いま起きているのが名前もつかない揺れなのか、18ヶ月に1回の調整なのか、6年に1回の弱気相場なのか。
2つのものさしを持っていれば自分で見分けられるようになります。

以前の記事で書いたとおり、S&P500は過去の大きな暴落からも最長で約7年かけて回復してきました。
調整なら平均135日、つまり4ヶ月半ほどで終わっています。

知らずに耐えるのと、分かって待つのとでは、同じ時間でもまったく違います。

ニュースの見出しに「暴落」と書いてあっても、下落率を確認すれば実際は調整ですらないことがあります。
この確認ができるだけで、振り回される回数がぐっと減ります。

まとめ

  • 下落には「高値からの下落率」と「1日の下落率」という2つのものさしがある
  • 高値から10%以上で「調整」、20%以上で「弱気相場(暴落)」
  • 調整は約18ヶ月に1回、弱気相場は約6年に1回。30年積み立てるなら20回と5回は通る
  • 1日の下落は7%で取引が止まる。ここが市場の決めた「異常事態」の線
  • 1日に9%以上下げた日は、100年あまりでわずか8日だけ
  • 1日2%の下げは「やや大きい日常」の範囲
  • 毎日2%が続いたのは史上最速のコロナショックのみで、それも1ヶ月で終わった
  • リーマンショックは1日あたり-0.2%。大きな暴落ほど、実はゆっくり進む

下落そのものをなくすことはできません。
でも「これはどれくらいの下げなのか」を自分で判断できるようになることは、今日からできます。

次に下落のニュースを見たときは、まず下落率を確認してみてください。
多くの場合、名前すらつかない揺れだと思います。

※この記事はインデックスファンドの積立投資を前提にしています。
個別株など別の手法では、当てはまらない場合があります。
※頻度や期間は過去の実績であり、将来を保証するものではありません。
※この記事は個人の考えにもとづくものです。投資判断はご自身の責任でお願いします。

参考

Capital Group「Market declines — A little history」

日本経済新聞「弱気相場入りとは 株価下落率2割超え、市場の悲観映す」

ニューヨーク証券取引所「Market-Wide Circuit Breakers FAQ」

松井証券「米国株のサーキットブレーカーとはなんですか。」

三井住友DSアセットマネジメント「米国株はいつ下げ止まるか」

Wikipedia「List of largest daily changes in the S&P 500 Index」

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みやしょー

心理学、健康、お金など、生活に役立つ知識を得るのが趣味です。
FP3級・簿記3級を取得しており、学んだ知識を日々の暮らしや資産形成に活かしています。
インプットだけでは身につかず、使える知識にはならないと感じたため、学んだことをアウトプットしていきます。
「もっと早く知りたかった」「どうして周りの人は誰も教えてくれなかったんだろう」と思うことが本当に多くありました。
そんな大事だと思った知識を、このブログに備忘録としてまとめていく予定です。
よろしくお願いします。

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