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こんにちは、みやしょーです。
前回の記事では、下落の大きさをどう見分けるかを書きました。
今回はもう一歩手前の話です。そもそも、オルカンの価格は何で動いているのか。
投資を始めたばかりの頃は、値下がりした月を見て「世界の株価が下がったんだな」と思っていました。
でも中身を調べてみると、原因はそれだけではありませんでした。
値下がりの原因は、株価とは限らない
まず、実際に起きたことから紹介します。
2026年7月、オルカンの基準価額は496円下がりました。
素直に受け取れば「世界の株価が下がったから」です。
でも内訳を見ると、話はそれだけではありませんでした。
2026年7月に起きたこと(1万口あたり)
株価による変動 −256円
為替による変動 −237円
その他(信託報酬など) −3円
基準価額の変動 −496円
株価が下げたのは256円分。残りのほぼ同じ額は、為替によるものでした。
つまりこの月の値下がりは、およそ半分が為替のせいだったということです。
オルカンを動かしているのは、株価だけではありません。為替がもう一つの力として、常に効いています。
そしてこの力は、逆向きにも働きます。
同じ2026年の6月は、世界の株価が下がったのに、基準価額は280円値上がりしました。
為替が429円分も押し上げたからです。
「株価は下がったのに増えた」「株価は上がったのに増えない」。
この一見ちぐはぐな動きの正体が、為替です。
オルカンの95%は外貨建て
なぜ為替がここまで効くのか。理由はオルカンの中身にあります。
| 国・地域 | 構成比 |
|---|---|
| アメリカ | 62.8% |
| 日本 | 5.0% |
| 台湾 | 3.2% |
| イギリス | 3.1% |
| カナダ | 3.0% |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年8月末時点)
注目してほしいのは日本が5.0%しかないことです。
つまり残りの約95%は外国の株。ドルやユーロなど、外国のお金で値段がついています。
私たちが見ている基準価額は円に直した金額です。
だから、円の価値が変われば、株価が1円も動かなくても基準価額は変わります。
なおオルカンは為替ヘッジを行わない方針です。
為替の動きを打ち消す仕組みを使っていないので、影響がそのまま出ます。
円安と円高で何が起きるのか
仕組みはとても単純です。1万ドル分の株を持っているとして考えてみます。
株価がまったく動かなかった場合
1ドル150円のとき 1万ドル = 150万円
1ドル160円になると(円安) 1万ドル = 160万円
1ドル140円になると(円高) 1万ドル = 140万円
株は1株も売っていないし、値段も変わっていません。
それでも円で見ると20万円も違います。
円安になると基準価額は上がり、円高になると下がる。
これが為替の効き方です。
株価と組み合わせると、4つのパターンになります。
| 世界の株価 | 為替 | オルカンは |
|---|---|---|
| 上がる | 円安 | 大きく上がる(一番おいしい) |
| 上がる | 円高 | 打ち消し合って、あまり増えない |
| 下がる | 円安 | 打ち消し合って、あまり減らない |
| 下がる | 円高 | 大きく下がる(一番きつい) |
ニュースで「世界の株価が下がった」と聞いても、円安が進んでいれば、自分の資産はほとんど減っていないことがあります。
逆もまた同じです。
2026年の実際の数字を見てみる
ここが今回一番おもしろかったところです。
オルカンの月次レポートには、基準価額の動きが「株価のせい」と「為替のせい」に分解して載っています。2026年の1月から8月まで並べてみました。
| 月 | 株価による | 為替による | 基準価額の変動 |
|---|---|---|---|
| 1月 | +821円 | −453円 | +367円 |
| 2月 | +434円 | +377円 | +810円 |
| 3月 | −2,901円 | +536円 | −2,366円 |
| 4月 | +3,424円 | +299円 | +3,721円 |
| 5月 | +2,049円 | −207円 | +1,840円 |
| 6月 | −147円 | +429円 | +280円 |
| 7月 | −256円 | −237円 | −496円 |
| 8月 | +1,402円 | −18円 | +1,384円 |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の月次レポート「基準価額の変動要因(概算)」(2026年8月末時点)。1万口あたりの概算値です。株価による変動は国内株式・先進国株式・新興国株式の合計です。
いくつか拾ってみます。
1月は、株価が821円分も上がったのに、基準価額は367円しか増えませんでした。
円高で453円が削られたためです。上がったのに増えない、という月です。
3月は株価が2,901円分の大幅安。
それでも為替が536円を戻してくれたので、下げは2,366円で済みました。
6月は、冒頭で触れた「株安なのに値上がりした月」です。
為替が429円分を押し上げ、株価のマイナスをひっくり返しました。
7月は冒頭で見たとおり、株価も為替も同時にマイナス。いわゆるダブルパンチで、下げが深くなりました。
逆に8月は、為替がほとんど効かなかった月です。
株価が1,402円分も上がり、為替はわずか18円のマイナス。
こういう月は「世界の株価が上がったから増えた」と素直に理解できます。
8か月のうち、為替がプラスに働いたのが4回、マイナスが4回。
ちょうど半々でした。
そして株価が静かな月ほど、為替の存在感が大きくなっていることが分かります。
短期では、為替の影響は大きい
ここまで読むと「為替のせいで儲からないのでは」と感じるかもしれません。
私も最初はそう思いました。
まず前提として、為替は株価と同じで予想できません。
専門家でも当たりません。
ですから「円安になりそうだから買う」といった判断はしないほうがいいと思います。
大事なのは、為替の影響は持っている期間によってまったく違うということです。
1年程度で見ると、為替は株価に匹敵する、あるいはそれ以上の力を持ちます。
株価に期待できるのが年7%程度だとしても、為替は1年で10%以上動くことが珍しくないからです。
たとえば2024年は1ドル141円で始まり、7月には161円まで進みました。
1年で約14%です。
2022年にいたっては115円台から150円台まで、約30%も動いています。
上の表の1月がまさにそうでした。株価が821円分も上がったのに、円高に削られて367円しか残りませんでした。
長期では、株価の伸びが上回る
一方で、長い目で見ると関係が変わります。
株価は複利で積み上がっていきます。年7%なら30年で約7.6倍です。
それに対して為替には、行ったり来たりする範囲があります。
1990年以降のドル円は、いちばん円高だった2011年の75円台から、いちばん円安だった1990年と2024年の160円台まで。
35年かけても、上と下で2倍ほどの幅しかありません。
出典:日本経済新聞「円相場が史上最高値、1ドル=75円32銭」/三井住友DSアセットマネジメント「ドル円相場の歴史」
仮に30%の円高という大きな逆風が吹いたとして、持っている期間で結果がどう変わるか計算してみました。
| 持っている期間 | 株価だけなら(年7%) | 30%の円高が起きたら |
|---|---|---|
| 1年 | 1.07倍 | 0.75倍(元本割れ) |
| 10年 | 1.97倍 | 1.38倍 |
| 30年 | 7.61倍 | 5.33倍 |
同じ30%の円高でも、1年なら資産は減ります。でも30年持っていれば5.3倍です。
時間が経つほど、株価の伸びが為替の影響を飲み込んでいきます。
だから、こう整理しています。
老後資金として20年、30年かけて育てるお金なら、為替は気にしなくていい。
ただし1年単位で見れば為替の影響は大きいので、そこは理解しておく。
「今月あまり増えなかった」「株価は上がったのに減った」というとき、その正体はたいてい為替です。
理由が分かっていれば、慌てずに済みます。
さらに積立なら、円高の月は同じ1万円でより多くの外国株を買えます。そのときは損した気分になりますが、実際には安く仕込んでいることになります。
ただし、将来の為替がどうなるかは誰にも分かりません。
過去のような範囲に収まり続ける保証はありません。
まとめ
- オルカンの値段を動かしているのは、株価と為替の2つ
- 日本株は5.0%だけで、残りの約95%は外貨建て。だから為替の影響を強く受ける
- 円安なら基準価額は上がり、円高なら下がる。株価が動かなくても変わる
- 2026年6月は、株価が下がったのに為替のおかげで値上がりした
- 逆に1月は、株価が上がったのに円高でほとんど増えなかった
- 7か月のうち為替がプラスは4回、マイナスは3回でほぼ半々
- 為替は株価と同じで予想できない。だから読もうとしない
- 1年単位では為替の影響は大きく、株価の値動きを上回ることもある
- ただし株価は複利で積み上がるのに対し、為替は35年で2倍ほどの幅を行き来しただけ
- 30%の円高が起きても、30年持てば5.3倍。長期ほど為替の影響は小さくなる
- 老後資金の長期投資なら為替は気にしなくていい。ただし短期の影響は理解しておく
基準価額が思ったほど増えない月があっても、それは世界経済が悪いからとは限りません。
単に円高だっただけ、ということがよくあります。
この仕組みを知っておくと、値動きを見たときの納得感がまったく変わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※この記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。構成比や基準価額は変動するため、最新の情報は運用会社の月次レポートでご確認ください。
※月次レポートの変動要因は運用会社による概算値です。
※この記事は個人の考えにもとづくものです。投資判断はご自身の責任でお願いします。
参考
三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
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