SESとSIerの違いとは?それぞれの定義や役割の違いを解説

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SESとSIerの違いとは?それぞれの定義や役割の違いを解説

「SES(エスイーエス)」と「SIer(エスアイヤー)」は、双方ともIT業界で使われる言葉ですが、その違いを正確に理解していない場合もあるでしょう。

そこで今回は、SESとSIerの定義や契約形態の違い、役割の違いなどを詳しく解説します。また、どのようなエンジニアがSESやSIerに向いているのかについても紹介します。SESとSIerの違いについて正確に理解し、自分にとって最適な会社を選ぶための参考にしてみてください。

SESとは?

SESとは、システムエンジニアリングサービスの略称です。企業がクライアントにエンジニアの労働力を提供し、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用などの業務を行います。SESエンジニアは通常、クライアント先に常駐し、契約に基づいた業務を行うのが一般的です。SESは、企業が技術力を外部から調達し、柔軟な人員配置が可能になるため、多くの企業で採用されています。

SIerとは?

SIer(エスアイヤー)は、System Integration(システムインテグレーション)の略称で、SIに接尾辞「-er(~をする人)」を付けた和製英語です。

一般的にSIとは、クライアントの要望に合わせて、システムの企画から、導入、運用、コンサルティングまで、システム開発に関するすべての業務を一貫して請け負うサービスを指します。そして、この事業を一括して請け負う企業をSystem Integrator(システムインテグレーター)もしくはSIerと呼ぶのです。

また、クライアントから直接仕事を受託する元請けのSIerはプライムベンダーと呼ばれることもあります。ほかにも、システムの開発関連サービスを提供する企業をシステムベンダーやITベンダーと呼ぶこともあります。

SESとSIerの5つの違い

SESとSIerとでは、担っている役割が大きく異なります。その違いは、主に以下の5つです。

・契約形態の違い

・労働時間の違い

・労働先の違い

・報酬の違い

・必要なスキルの違い

それぞれの違いについて、詳しく解説します。

契約形態の違い

SESとSIerの契約形態には大きな違いがあります。SESは準委任契約であり、技術力を提供することを目的としています。エンジニアの稼働時間に応じて報酬が支払われ、成果物が完成していなくても契約期間中の費用は発生するのが特徴です。

一方、SIerは主に請負契約であり、成果物を完成させた上で引き渡すことが目的で、その成果物に応じて報酬が発生します。

労働時間の違い

SESとSIerの間には、契約形態だけでなく労働時間にも違いがあります。

SESエンジニアは準委任契約に則ってアサインされ、契約時に労働時間と報酬が取り決められています。そのため、基本的には規定の労働時間以外に働くことは少なく、長時間労働になりにくいのが特徴です。

一方、SIerは請負契約で、成果物の完成に応じて報酬が発生します。そのため、納期間近の追い込み時期には、長時間労働が必要になることがあります。また、SIerの契約では、労働時間に関する制約が基本的になく、業務の進捗状況によって勤務時間が変動することもあるでしょう。

就業先の違い

SESエンジニアとSIerは、基本的に就業先が異なります。一般的に、SESエンジニアはクライアント企業に出向いて客先常駐として働くのに対し、SIerは基本的に自社で働きます。そのため、SESは案件ごとに就業場所が変わる可能性が高いです。一方、SIerは案件が変わっても就業場所が変わることは少ない傾向にあります。

ただし、SIerの中にも客先常駐を取り入れている企業もあり、SES契約でも客先で働かないケースもあります。就業先は、クライアント企業との取り決めで決まるため、SESかSIerかで働く場所が固定されているわけではありません。

報酬の違い

報酬の違いを見ると、SIerなどの請負契約の方がSESの準委任契約よりも高報酬であるケースが多いです。ただし、同じSIer企業の中でも大手企業と中小企業では、報酬金額が大きく異なります。

SESエンジニアは契約時に報酬が決まっているため、残業やプロジェクトの成果に応じた報酬アップは期待できないことが多いです。しかし、SIerと比べて企業の大きさによる費用の差はそれほど大きくない傾向にあります。

必要なスキルの違い

SESエンジニアには、現場で必要となる技術力やシステム開発・運用に関する知識・スキルが求められます。加えて、客先常駐で働くためにコミュニケーション能力も重要視されるでしょう。

一方、SIerエンジニアは、システムの企画、導入、運用、コンサルティングなど、多岐にわたる業務を担当する可能性があるため、システム開発などに関する幅広い知識やスキル、マネジメントスキルが必要です。また、クライアントとの打ち合わせも頻繁にあるため、コミュニケーション能力や営業力も必要不可欠です。

このように、SESエンジニアとSIerエンジニアで求められるスキルには少し違いがあり、それぞれの業務内容に合わせてスキルアップする必要があります。

SESとSIerのどちらが自分は適しているか知ろう

自分はSESエンジニアとSIerエンジニアのどちらに適性があるのか気になる方もいると思います。

ミスマッチを防ぐためにも、SESエンジニアとSIerエンジニアそれぞれに適している人の特徴について確認しておきましょう。

SESエンジニアに適している人の特徴

SESエンジニアは、案件ごとに必要となるスキルや、開発するシステムの内容が異なります。そのため、柔軟で学習意欲の高い方や専門分野に特化していきたい方に適しているといえるでしょう。

さらに、SESエンジニアは基本的に客先常駐で仕事をするため、環境変化に対する柔軟さが求められます。そのため、新しい環境でも問題なく人間関係を構築できる方は、SESエンジニアとして働きやすいでしょう。

このように、SESエンジニアは常に新しい技術や知識を取り入れ、成長することが求められるため、自己学習能力が必要となります。また、業務の進捗管理能力も身につけておけばなおよいでしょう。

SIerエンジニアに適している人の特徴

SIerエンジニアは、システム開発の上流から下流までの全工程に関わるため、設計から運用までの幅広い知識を身につけたい人に適しています。また、クライアントとのやり取りがあるため、ビジネスマナーなども身につけやすいでしょう。

また、コミュニケーション能力が高く、折衝や納期管理、トラブル対応などのスキルがある人もSIerエンジニアとしての活躍が期待されます。

SESとSIerの将来性は?

2023年5月現在、IT業界が慢性的な人材不足であることから、SESとSIerどちらも需要が高いといえます。しかし、その将来性はどうなのでしょうか。ここでは、SESとSIerの展望について考察します。

SESはIT業界の人材需要と連動している

IT業界は、企業のデジタル化の動きやDXの浸透などを受けて年々成長しており、IT人材の不足も深刻な問題となっています。経済産業省の試算によると、2030年にはIT人材が最大で79万人程度不足すると予測されており、IT業界の人材不足は今後もしばらく続く見込みです。

このような人材不足の状況から、自社でエンジニアを確保できない企業がSESに頼るケースが増加することが予想されます。そのため、SESには今後も需要があると考えられるでしょう。

ただし、IT業界は技術革新のスピードが速いため、SESとして将来的にも活躍したい場合は、常に新しい技術を学ぶ姿勢が必要です。また、クライアントのニーズに合わせて柔軟に対応できる能力や、コミュニケーション能力も求められます。常に自己研鑽を積んでスキルアップし、柔軟に対応できるスキルを身につけることが重要です。

SIerも引き続き利用される可能性が高い

SIerの需要も今後ますます高まると予測されています。クラウドサービスの台頭により、企業は自社内でシステムを構築することなく、システムやサービスを開発・提供できるようになりました。これにより、SIerの将来性が低くなると言われることもありますが、大規模なシステムや特定の業種・サービスに特化したシステムはクラウド化が難しいため、SIerが引き続き利用されると考えられます。

加えて、IT業界の人材が不足していることや、企業のデジタル化の動きを受けてIT業界が堅調なことから、SIerは今後も必要とされるでしょう。

SESとSIerの違いを知り、自分にとってよい会社を選ぼう

SESは準委託契約で、働いた時間に応じて報酬が発生します。また、SESエンジニアは客先常駐で仕事をするのが一般的のため、エンジニアとして専門性の高い技術力と、環境変化への対応力やコミュニケーション能力が必要です。

一方、SIerは成果物を完成させ納品することで報酬が発生します。SIerエンジニアは、自社で働くことが多く、上流工程から下流工程にかけた幅広い知識・技術やビジネススキルが求められます。

現在、企業のデジタル化の動きを受け、IT人材の需要は高まっている傾向にあり、IT分野への参入障壁は比較的低いです。しかし、その多くが従業員数の拡大に苦戦しています。そのため、今後もSES、SIer共に、需要はあるでしょう。

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