SESに3年ルールは適用される?適用されない職種を解説!

SESの3年ルールとよく言われますが、制度の背景や法的根拠があいまいなまま現場に任せきりというケースも少なくありません。しかし、対応を誤ると契約継続のリスクや労務トラブルにもつながりかねません。
そこで本記事では、SES業界で混同されやすい「3年ルール」の正確な意味と実態、よくある誤解、対応の選択肢まで、現場判断に迷わないための情報を整理しました。リスクを回避しながら、安定した契約運用を目指すための資料もあわせてご案内しています。
SESに3年ルールは適用されるのか
SES(システムエンジニアリングサービス)における3年ルールは、特に契約の継続や労働条件に関して重要なテーマです。
このルールは、労働者派遣法に基づき、派遣労働者が同一の派遣先で働くことができる期間を3年に制限するものです。しかし、SESは派遣とは異なる性質を持つため、3年ルールの適用については慎重に考える必要があります。
SESは、クライアント企業のプロジェクトにエンジニアを派遣する形態ですが、実際にはエンジニアが特定の企業に常駐することが多く、派遣労働者と同様の状況に見えることがあります。
しかし、SES契約は請負契約に近い性質を持ち、エンジニアが特定の業務を遂行することに重点が置かれています。このため、3年ルールが直接適用されるわけではありません。
SESと似た言葉との違い
SESは、IT業界において特有の契約形態ですが、似たような言葉や契約形態が多く存在します。SESとよく混同されるSIer、SE、派遣契約、アウトソーシングとの違いについて詳しく解説します。
SIerとの違い
SESとSIer(システムインテグレーター)は、しばしば混同されがちですが、実際には異なる役割とビジネスモデルを持っています。
SESは、クライアント企業にエンジニアを派遣し、特定のプロジェクトや業務に従事させる形態です。
一方、SIerは、システムの設計から開発、運用までを一貫して行う企業であり、クライアントのニーズに応じたシステムを構築することが主な業務となります。
SEとの違い
SESとSE(システムエンジニア)は、しばしば混同されがちですが、実際には異なる役割と業務内容を持っています。
SESは、クライアント企業に対してエンジニアを派遣し、そのエンジニアがクライアントのプロジェクトに従事する形態を指します。
一方、SEは、システムの設計や開発、運用などを行う専門職であり、必ずしも外部から派遣されるわけではありません。
派遣契約との違い
SESと派遣契約は、どちらも企業が外部の人材を活用する手法ですが、その性質や契約内容には明確な違いがあります。
まず、SESは特定のプロジェクトや業務に対して専門的な技術者を提供する形態であり、業務の内容や成果物に対して責任を持つことが求められます。
一方、派遣契約は、労働者が派遣元の企業に雇用され、派遣先の企業で業務を行う形態です。この場合、労働者は派遣元の指示に従い、派遣先の業務を遂行します。
アウトソーシングとの違い
SESとアウトソーシングは、どちらも企業が外部のリソースを活用する手法ですが、その性質や目的には明確な違いがあります。
まず、SESは特定プロジェクトや業務に対して専門的な技術者を派遣する形態であり、クライアント企業の指示に基づいて業務を遂行します。つまり、SESは技術者がクライアントの現場で直接作業を行うことが特徴です。
一方、アウトソーシングは、業務全体を外部の企業に委託することを指します。例えば、IT部門の業務を外部の専門企業に丸ごと委託する場合、アウトソーシングとなります。
この場合、委託先は業務の運営や管理を行い、クライアント企業はその結果に対して責任を持つことになります。
SES以外の3年ルールが適用されない職種とは
SESにおける3年ルールは、特にSES業界において重要なテーマですが、実は他の職種においては適用されないケースも多く存在します。
区分 | 内容 | 3年ルールの適用 |
自社開発 | 自社サービスを自社社員で開発 | 適用外 |
SIer(請負で受託開発) | 客先からの案件を「成果物納品型」で請ける | 適用外 |
SES(準委任) | 客先常駐で業務を遂行(業務委託) | 実態次第で適用 |
ここでは、SES以外で3年ルールが適用されない職種について詳しく解説します。
SIer
SIerが請負契約でエンジニアを常駐させる場合、労働者派遣の3年ルールの対象外となるケースがあります。請負契約では指揮命令権が発注者ではなくSIer側にあるため、形式上は派遣に該当しません。
ただし、実態が派遣と同様であれば適用対象となるため、契約形態と現場での業務実態が一致していることが重要です。
自社開発エンジニア
自社開発エンジニアは、企業が自社の製品やサービスを開発するために雇用されるエンジニアを指します。自社開発エンジニアは特定のプロジェクトに従事し、企業のニーズに応じたソフトウェアやシステムを設計・開発します。
また、SESとは異なり、外部のクライアントに対してサービスを提供するのではなく、内部のプロジェクトに専念するため、3年ルールの適用外となります。
社内SE
社内SEは、企業内部で情報システムの設計、開発、運用を担当する職種です。
社内SEの主な役割は、社内向けシステムを構築し、維持管理することにあります。このため、社内SEは企業の特定のニーズに応じたシステムを開発することが求められ、外部のクライアントに対してサービスを提供するSESとは根本的に異なります。
3年ルールは、特定の業務に従事する派遣社員が、同一の業務に3年以上従事することを制限するものであり、社内SEはその対象外となります。
SESが解約される可能性
SES契約は、企業とエンジニアの間での柔軟な働き方を提供しますが、契約が解約されるリスクも存在します。ここでは、SES契約が解約される主な可能性について詳しく解説します。
企業からのニーズがなくなった
企業からのニーズがなくなることは、契約解消の大きな要因の一つです。
SESは、クライアント企業のプロジェクトにエンジニアを派遣する形態であり、プロジェクトの進行状況や企業の戦略に応じて、必要なスキルや人数が変動します。
そのため、企業が求める技術やリソースが変わると、派遣されているエンジニアの必要性が薄れることがあります。例えば、企業が新たなプロジェクトを立ち上げる際に、特定の技術に特化したエンジニアを求める場合、既存のSES契約がそのニーズに合致しないことがあります。
企業が求めるスキルを満たさなかった
企業が求めるスキルを満たさない場合、解約のリスクが高まります。SESはクライアントのニーズに応じてエンジニアを派遣する形態であるため、企業は特定の技術や経験を持った人材を求めることが一般的です。
例えば、新しい技術やフレームワークの導入に伴い、特定のスキルセットが必要とされることがあります。
このような状況で、派遣されたエンジニアがそのスキルを持っていない場合、企業は他の人材を探すことを選択する可能性が高いのです。
客先でのコミュニケーションが円滑にいかなかった
客先でのコミュニケーションも重要な要素です。プロジェクトの成功は、エンジニアとクライアントとの間の円滑な情報交換に大きく依存しています。しかし、コミュニケーションがうまくいかない場合、さまざまな問題が発生する可能性があります。
まず、クライアントのニーズや期待を正確に理解できないことが挙げられます。これにより、提供するサービスや成果物がクライアントの要求に合致しないことが多くなり、結果として信頼関係が損なわれることになります。また、誤解や情報の行き違いが生じることで、プロジェクトの進行が遅れたり、追加の修正作業が発生したりすることもあります。
業績悪化や経営方針の転換により予算が縮小した
SES契約において、企業の業績悪化や経営方針の転換は、契約の継続に大きな影響を及ぼす要因となります。
このような状況下では、SES契約に基づくエンジニアの必要性が見直されることが多く、結果として契約の解約や更新の見送りが発生する可能性が高まります。
また、経営方針が変わることで、企業が求めるスキルセットやプロジェクトの方向性も変化することがあります。これにより、SES契約を結んでいるエンジニアが新たなニーズに応えられない場合、契約の継続が難しくなることも考えられます。
まとめ
本記事では、3年ルールの正確な意味や、SESと他の職種との違いについて詳しく解説しました。
SESが適用される職種と適用されない職種の違いを理解することは、契約運用の安定性を確保するために非常に重要です。
今後もSES業界の動向を注視し、必要な情報を収集することで、より良い契約運用を目指していきましょう。リスクを回避し、安心して働ける環境を整えるために、正しい知識を持つことが不可欠です。

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