SESの単価相場はいくら?単価の決まり方や還元率、単価を上げる方法を解説

COLUMN

お役立ち情報

SESの単価相場はいくら?単価の決まり方や還元率、単価を上げる方法を解説

SES企業にとって、エンジニアの単価は売上や利益を左右する重要な経営指標です。しかし、適正な単価相場がわからず、価格交渉や案件選定に課題を抱える企業も少なくありません。

SESの単価は、エンジニアの経験年数やスキル、担当工程、商流などによって異なります。

そこで本記事では、SESの単価相場を経験年数・職種・技術領域別に整理したうえで、単価の決まり方や還元率、利益構造を解説します。

さらに、SES企業の経営者や営業担当者に向けて、単価を引き上げる具体的な方法や交渉のポイントも紹介します。

SESの単価とは?

SESの単価とは、SES企業がエンジニアの技術力や労務の提供に対して、取引先企業から受け取る報酬の基準となる金額です。

一般的には、エンジニア1人あたりの月額単価で設定されます。例えば、月額単価が70万円のエンジニアを1人稼働させた場合、契約条件どおりに稼働すれば、SES企業には月額70万円の売上が発生します。

ただし、単価がそのまま企業の利益になるわけではありません。給与や社会保険料、営業費用などを差し引く必要があります。

SESにおける単価の仕組み

SES契約では、エンジニアの稼働に対して月額単価を設定するケースが一般的です。

例えば、月額単価80万円、基準となる精算幅が140〜180時間の契約では、実際の稼働時間が精算幅内であれば、原則として80万円が請求金額となります。

一方、稼働時間が精算幅を下回った場合は控除、上回った場合は超過精算が発生することがあります。具体的な計算方法は契約条件によって異なります。

また、SES企業の売上は、基本的に以下の式で計算できます。

SES売上高 = 月額単価 × 稼働人数 × 対象月数

例えば、平均単価75万円のエンジニアが20人、12か月間継続して稼働した場合、年間売上高は1億8,000万円となります。

SES企業が収益を拡大するためには、稼働人数を増やすだけでなく、エンジニア1人あたりの単価を適切に管理することが重要です。

SESの単価相場はいくら?

SESの単価相場は、エンジニアの経験年数や技術領域、担当する工程などによって大きく異なります。

一般的に、実務経験が豊富で、専門性の高い技術や上流工程を担当できるエンジニアほど、高い単価が設定されやすい傾向があります。

ここでは、SES企業が案件の価格設定や営業戦略を検討する際に参考となる単価の目安を紹介します。

経験年数別のSES単価相場

SESの単価は、エンジニアの経験年数によって変わります。一般的には、経験年数が長くなるほど対応できる業務範囲が広がり、単価も上昇しやすくなります。

経験年数別のSES単価相場

【経験年数】: 【月額単価の目安】

– 未経験〜1年未満: 30万〜45万円
– 1〜3年: 40万〜60万円
– 3〜5年: 55万〜75万円
– 5〜10年: 65万〜90万円
– 10年以上: 75万〜110万円以上

例えば、実務経験が1年程度のエンジニアは、テストや運用保守などの業務を担当することが多く、比較的低い単価から始まる場合があります。

一方、5年以上の経験があり、要件定義や基本設計、チーム管理などを担当できるエンジニアは、高単価案件への参画が期待できます。

ただし、経験年数が長ければ必ず単価が上がるわけではありません。実際に担当できる工程や技術力、顧客への提供価値を踏まえて判断することが重要です。

職種別のSES単価相場

SESの単価は、エンジニアの職種によっても異なります。開発エンジニアやインフラエンジニアだけでなく、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、担当する役割によって求められる専門性が異なるためです。

【職種】: 【月額単価の目安】

– テストエンジニア: 35万〜55万円
– システム運用・保守エンジニア: 40万〜65万円
– インフラエンジニア: 50万〜80万円
– Web・アプリケーションエンジニア: 55万〜85万円
– クラウドエンジニア: 65万〜100万円

– プロジェクトリーダー(PL): 70万〜100万円

– プロジェクトマネージャー(PM): 80万〜120万円

– ITコンサルタント: 90万〜150万円以上

例えば、プロジェクトマネージャーは、進捗管理や品質管理、顧客折衝など幅広い責任を担うため、開発業務のみを担当するエンジニアよりも高い単価が設定される場合があります。

ただし、同じ職種でも経験やスキルによって単価には差が生じます。

スキル・技術領域別のSES単価相場

SESの単価は、使用するプログラミング言語や技術領域によっても変動します。

特に、専門人材の確保が難しい技術領域や、企業のDX推進に関わる案件では、高い単価が設定されることがあります。

【技術領域】: 【月額単価の目安】

– Java・C#: 50万〜85万円
– PHP・Ruby: 50万〜85万円
– Python: 55万〜95万円
– JavaScript・TypeScript: 55万〜90万円
– AWS・Azure・Google Cloud: 65万〜105万円

– AI・機械学習: 70万〜120万円

– セキュリティ: 65万〜110万円

– SAP・ERP: 75万〜130万円

例えば、クラウド環境の設計・構築や、AIを活用したシステム開発などの経験があるエンジニアは、専門性を評価される場合があります。

ただし、特定の言語や技術を扱えるだけで高単価になるわけではありません。

技術を活用してどのような課題を解決できるのか、設計や運用まで担当できるのかといった実務能力が重要です。

担当工程・ポジション別のSES単価相場

SESの単価は、エンジニアが担当する開発工程やプロジェクト内の役割によっても異なります。

一般的に、要件定義や基本設計などの上流工程では、技術力に加えて顧客との調整能力や業務理解が求められます。

【担当工程・ポジション】: 【月額単価の目安】

– テスト・検証: 35万〜55万円
– 運用・保守: 40万〜65万円
– 詳細設計・実装: 50万〜80万円
– 基本設計: 60万〜90万円
– 要件定義: 70万〜100万円

– PL・チームリーダー: 70万〜105万円

– PM・PMO: 80万〜130万円

例えば、同じJavaエンジニアでも、実装のみを担当する場合と、要件定義から設計、開発チームの管理まで担当する場合では、単価に差が生じる可能性があります。

SES企業が単価を上げるためには、エンジニアの技術力だけでなく、担当できる工程や役割を広げることも重要です。

SESの単価を決める主な要素

SESの単価は、エンジニアの経験年数だけで決まるものではありません。実際には、技術力や担当工程、案件の難易度、取引構造、市場の需給など、複数の要素を踏まえて決定されます。

SES企業が適切な単価を設定するためには、これらの要素を理解し、案件ごとに価格の妥当性を判断する必要があります。

エンジニアの経験・スキル

SESの単価を決める基本的な要素が、エンジニアの経験とスキルです。

例えば、同じプログラミング言語を扱う場合でも、指示に従って開発するエンジニアと、自ら設計方針を判断して開発を進められるエンジニアでは、提供できる価値が異なります。

また、トラブル対応や性能改善、既存システムの刷新など、難しい課題に対応できる経験も評価対象になります。

単価を設定する際は、経験年数だけでなく、担当したプロジェクトの規模や成果、対応可能な業務範囲を確認することが重要です。

担当する工程・役割

エンジニアが担当する工程や役割も、SESの単価に影響します。

例えば、テストや実装を中心に担当する場合と、要件定義やシステム設計を担当する場合では、求められる能力や責任の範囲が異なります。

また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとして、進捗管理や品質管理、顧客折衝を担当する場合は、管理能力も評価されます。

SES企業は、エンジニアが現在担当できる工程だけでなく、今後どのような役割へ成長できるかを踏まえて案件を選定することが大切です。

保有資格・専門性

資格や専門知識も、SESの単価を決める際の判断材料になります。

例えば、AWS認定資格や情報処理技術者試験、セキュリティ関連資格などは、特定の技術領域に関する知識を示す材料となります。

ただし、資格を保有しているだけで単価が上がるとは限りません。重要なのは、資格で得た知識を実際の業務で活用できることです。

例えば、クラウド関連資格に加えて、クラウド環境の設計・構築経験があれば、顧客に対して専門性を説明しやすくなります。

案件の難易度・希少性

案件の難易度や求められる技術の希少性も、単価に影響する要素です。

例えば、大規模システムの移行や高度なセキュリティ対策、複雑なデータ基盤の構築などでは、専門的な経験を持つエンジニアが求められます。

対応できる人材が限られている場合、顧客企業が高い単価を提示することもあります。ただし、難易度が高い案件ほど、納期や品質に対する責任も大きくなる傾向があります。

SES企業は単価だけで判断せず、エンジニアのスキルと案件の要求水準が一致しているかを確認する必要があります。

商流・取引構造

SESの単価は、顧客企業との取引構造によっても変わります。

例えば、エンド企業と直接契約する場合と、複数の企業を経由して案件に参画する場合では、自社が受け取る契約単価に差が生じることがあります。

多重下請け構造では、各企業が管理費用や利益を確保するため、下位の企業が受け取る金額が小さくなる可能性があります。

そのため、SES企業が単価を改善する方法として、エンド企業や元請け企業との直接取引を増やすことが挙げられます。

ただし、直接取引では営業や契約管理の負担も増えるため、収益性を総合的に判断することが重要です。

市場におけるエンジニア需要

SESの単価は、エンジニア市場の需要と供給によっても変動します。

例えば、企業のDX推進やクラウド移行が進むことで、特定の技術領域に対応できるエンジニアへの需要が高まる場合があります。

一方、対応できる人材が多い技術領域では、案件の条件によって価格競争が生じることもあります。

また、同じスキルを持つエンジニアでも、地域や業界、案件の期間によって単価が異なる場合があります。SES企業は、求人情報や案件情報、取引先から得られる情報などを活用し、市場単価の変化を継続的に把握することが重要です。

SES企業の利益は単価によってどう変わる?

SES企業の収益性を考えるうえで、エンジニアの単価は重要な指標です。

ただし、単価が高ければ必ず利益が増えるわけではありません。給与や社会保険料、営業費用などのコストに加えて、エンジニアの稼働率も考慮する必要があります。

ここでは、SES企業における売上・原価・利益の関係と、収益性を管理する際のポイントを解説します。

SES企業における売上・原価・粗利益の考え方

SES企業の売上は、基本的にエンジニアの契約単価と稼働人数によって決まります。

一方、原価には、エンジニアの給与や賞与、社会保険料の会社負担分などが含まれます。粗利益は、売上高から売上原価を差し引いて計算します。

粗利益 = 売上高 - 売上原価

例えば、月額単価80万円のエンジニアに対して、給与や法定福利費などの直接原価が55万円かかる場合、月間粗利益は25万円です。

ただし、粗利益から営業担当者の人件費や採用費用、管理部門の経費などを差し引く必要があるため、粗利益がそのまま営業利益になるわけではありません。SES企業では、売上だけでなく、エンジニアごとの原価と粗利益を管理することが重要です。

SESの粗利率・利益率の考え方

SES企業の収益性を評価する際には、粗利益額だけでなく粗利率も確認する必要があります。

粗利率は、売上高に対する粗利益の割合を示す指標です。

粗利率=粗利益÷売上高×100

例えば、月額単価80万円、直接原価55万円の場合、粗利益は25万円、粗利率は31.25%となります。ただし、企業によって原価に含める費用の範囲が異なる場合があります。

【項目】: 【月額】

– 契約単価: 80万円
– 直接原価: 55万円
– 粗利益: 25万円
– 粗利率: 31.25%

そのため、粗利率を比較する際は、計算基準を統一することが重要です。

また、営業利益率は販管費を差し引いた営業利益を売上高で割って計算します。粗利率と営業利益率を区別して管理する必要があります。

単価とエンジニア給与の適切なバランス

SES企業が安定した利益を確保するためには、契約単価とエンジニア給与のバランスを適切に管理することが重要です。

例えば、契約単価が上昇しても、給与や賞与が同じ割合で増加すれば、企業の粗利益額は大きく変わらない場合があります。

一方、利益確保を優先して給与水準を抑えすぎると、エンジニアの不満や離職につながる可能性があります。

そのため、給与制度を設計する際は、社員への還元だけでなく、採用費用や教育費用、待機期間の人件費なども考慮する必要があります。

還元率を公表する場合は、給与のみを対象とするのか、賞与や法定福利費を含めるのかを明確にし、社員が理解できる仕組みを整えることが大切です。

稼働率を含めて収益性を考える

SES企業の利益を考える際には、エンジニアの稼働率も重要です。

稼働率とは、所属するエンジニアのうち、売上につながる案件に参画している人数の割合を示す指標です。

稼働率=稼働中のエンジニア数÷対象エンジニア数×100

例えば、エンジニアが20人所属していて、そのうち18人が稼働している場合、稼働率は90%となります。平均単価75万円の場合、月間売上は1,350万円です。

一方、20人全員が稼働していれば、月間売上は1,500万円となり、150万円の差が生じます。

ただし、待機期間中にも給与などのコストが発生するため、稼働率の低下は利益を圧迫します。SES企業は、単価の向上と稼働率の維持を両立させることが重要です。

SES企業で単価が上がらない原因

SES企業が単価アップを目指していても、エンジニアのスキルや市場価値を十分に把握できていなければ、適切な価格設定は難しくなります。

ここでは、SES企業で単価が上がらない代表的な5つの原因について解説します。

エンジニアの市場価値を把握できていない

SES企業がエンジニアの市場価値を正しく把握できていない場合、本来獲得できる単価よりも低い金額で契約してしまう可能性があります。

例えば、クラウド環境の設計・構築経験が豊富なエンジニアを、一般的なインフラ運用案件の単価で提案してしまうケースです。

このような状況を防ぐためには、エンジニアごとのスキルや経験を整理し、市場の案件単価と比較する必要があります。市場価値を把握する仕組みがなければ、単価交渉の根拠を提示することも難しくなります。

低単価案件への参画が長期化している

低単価案件への参画が長期化していることも、単価が上がらない原因の一つです。

SES企業では、稼働の安定性を重視して、同じ案件への参画を継続することがあります。

しかし、エンジニアのスキルが向上しても契約単価が見直されなければ、市場価値と報酬の間に差が生じる可能性があります。特に、案件の契約更新時に単価交渉を行っていない場合、当初の条件が長期間維持されることがあります。

企業側は、案件の継続期間と単価の推移を定期的に確認することが重要です。

商流が深く中間マージンが発生している

SES企業の単価は、取引先との商流によって影響を受ける場合があります。

例えば、エンド企業から元請け企業、二次請け企業、三次請け企業へと案件が流れる場合、各企業が管理費用や利益を確保するため、自社が受け取る契約単価が低くなる可能性があります。

このような構造では、エンジニアのスキルが高くても、十分な単価を獲得できないことがあります。商流を改善するためには、元請け企業との関係強化や、エンド企業との直接取引を増やす営業活動が重要です。

顧客との単価交渉ができていない

営業担当者が顧客との単価交渉を十分に実施していないことも、単価が上がらない原因です。

例えば、契約更新時に従来の条件をそのまま継続している場合、エンジニアの成長や業務範囲の拡大が単価に反映されない可能性があります。

また、営業担当者が交渉の根拠となる市場単価や業務実績を把握していなければ、価格改定を提案しにくくなります。単価交渉を個人の営業スキルに依存させず、実施時期や必要資料を標準化することが重要です。

案件とエンジニアのマッチングが最適化されていない

案件とエンジニアのマッチング精度が低い場合、単価を十分に高められない可能性があります。

例えば、高度な開発スキルを持つエンジニアが、その専門性を必要としない運用業務に参画している場合、能力に見合った単価を獲得しにくくなります。

一方、案件の要求水準に対してスキルが不足している場合は、顧客からの評価が低下する可能性があります。

SES企業は、エンジニアのスキルと案件の要求条件を整理し、適切な組み合わせを検討することが重要です。

SES企業がエンジニアの単価を上げる方法

SES企業が単価を上げるためには、営業担当者による価格交渉だけでなく、エンジニアの育成や案件獲得戦略の見直しが必要です。

ここでは、SES企業が継続的に単価を引き上げるための6つの方法を解説します。

エンジニアごとの市場単価を把握する

SES企業が単価アップを進める際は、エンジニアごとの市場単価を把握することが重要です。

まず、所属するエンジニアの経験年数や技術スキル、担当工程、保有資格などを整理します。そのうえで、同程度のスキルを求める案件の募集単価を調査し、現在の契約単価と比較します。

例えば、現在の単価が65万円で、類似する案件の募集単価が75万〜85万円の場合、単価交渉や案件変更を検討する材料になります。

ただし、募集単価は必ずしも実際の成約単価と一致するわけではありません。精算条件や商流、勤務形態なども確認する必要があります。市場単価を定期的に更新することで、営業担当者が適切な価格を提案しやすくなります。

高単価につながるスキル・キャリア形成を支援する

SES企業が継続的に単価を高めるためには、エンジニアのスキルアップを支援することが重要です。

例えば、クラウド技術やセキュリティ、AI・データ分析など、専門性が求められる分野の研修を提供する方法があります。

また、技術研修だけでなく、要件定義や顧客折衝、プロジェクト管理などの能力を育成することも有効です。

具体的には、資格取得支援制度や技術勉強会、メンター制度などを導入し、エンジニアが継続的に成長できる環境を整えます。

さらに、習得したスキルを実務で活用できる案件への参画を支援することも大切です。スキルアップと案件配属を連動させることで、エンジニアの成長を単価向上につなげやすくなります。

上流工程・高難易度案件への参画を増やす

単価を上げるためには、要件定義や基本設計などの上流工程や、専門性の高い案件への参画を増やすことが有効です。

一般的に、上流工程では技術力だけでなく、顧客の業務理解や課題整理、関係者との調整能力などが求められます。

そのため、実装やテストを中心に担当していたエンジニアが、設計やチーム管理まで対応できるようになれば、単価向上の機会が広がります。

SES企業は、エンジニアの現在のスキルと将来のキャリア目標を踏まえ、段階的に担当工程を広げることが重要です。

また、営業担当者は、既存顧客に対して上流工程や専門領域の案件を提案し、新たな取引機会を創出することも求められます。

エンド企業・元請け企業との直接取引を増やす

SES企業が単価を改善する方法として、エンド企業や元請け企業との直接取引を増やすことが挙げられます。

商流が深い案件では、複数の企業が取引に関与するため、自社が受け取る契約単価が低くなる場合があります。

そのため、直接取引の割合を増やすことで、単価や契約条件を改善できる可能性があります。

具体的には、既存顧客からの紹介営業や、特定の技術領域に特化した営業活動、企業向けセミナーなどが考えられます。

また、エンジニアの技術力だけでなく、プロジェクトの課題解決能力や継続的な支援体制を訴求することも重要です。

ただし、直接取引では営業活動や契約管理などの負担も増えるため、獲得単価と必要コストを比較して判断する必要があります。

顧客との単価交渉を仕組み化する

SES企業が安定的に単価を上げるためには、営業担当者ごとの経験や判断に依存しない交渉体制を整えることが重要です。

例えば、契約更新の1〜2か月前に単価を見直す運用ルールを設定します。

その際、エンジニアの業務成果やスキルの向上、担当業務の変化、市場単価などを整理し、顧客へ提示できる資料を準備します。

また、交渉結果を営業管理システムに記録し、単価アップの成功事例や失敗要因を共有することも有効です。単価交渉を定期的な営業活動として組み込むことで、価格改定の機会を逃しにくくなります。

さらに、交渉実施率や単価改定率などをKPIとして管理することで、組織全体の営業活動を改善できます。

案件とエンジニアのマッチング精度を高める

SES企業が単価を最大化するためには、案件とエンジニアのマッチング精度を高める必要があります。

例えば、エンジニアのスキル情報をデータベース化し、案件の必須条件や歓迎条件と照合できる仕組みを整えます。

その際、プログラミング言語や経験年数だけでなく、担当工程や業界経験、希望する働き方なども管理することが重要です。

また、案件選定時には、現在の単価だけでなく、今後のキャリア形成につながるかどうかも考慮します。高単価であっても、本人の希望と大きく異なる案件では、早期離職につながる可能性があります。

収益性とエンジニアの満足度を両立できるマッチングを実現することが、SES事業の安定的な成長につながります。

SES企業が単価交渉を成功させるポイント

SES企業が単価交渉を成功させるためには、単に値上げを依頼するのではなく、顧客が価格改定に納得できる根拠を提示することが重要です。

ここでは、営業担当者が単価交渉を進める際に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

単価交渉のタイミングを決める

単価交渉では、顧客が契約条件を見直しやすいタイミングを選ぶことが重要です。

例えば、契約更新時や年度予算の策定時期、エンジニアの担当業務が拡大したタイミングなどが考えられます。

そのため、契約更新の1〜2か月前から交渉を開始するなど、余裕を持ったスケジュールを設定するとよいでしょう。

また、単価交渉を実施する前に、顧客の予算状況や契約条件を確認することも大切です。営業担当者は、契約更新日と交渉開始日を管理し、適切なタイミングで価格改定を提案できる体制を整える必要があります。

エンジニアの成果・スキルを可視化する

単価交渉を成功させるためには、エンジニアが顧客に提供している価値を具体的に示すことが重要です。

例えば、担当工程の拡大や新しい技術の習得、プロジェクト内での役割の変化などを整理します。

また、開発業務では、不具合の削減や処理速度の改善、作業工数の短縮など、定量的な成果を提示できる場合があります。

単に「経験年数が増えた」「技術力が向上した」と説明するだけでは、価格改定の必要性が伝わりにくくなります。

そのため、具体的な業務実績や顧客からの評価を記録し、交渉資料として活用することが有効です。営業担当者とエンジニアが定期的に情報を共有することで、成果を把握しやすくなります。

市場単価を根拠として提示する

SESの単価交渉では、同程度のスキルを持つエンジニアの市場単価を根拠として提示する方法があります。

例えば、現在の契約単価が70万円で、類似する案件の募集単価が80万円前後の場合、市場との価格差を説明する材料になります。

ただし、市場単価を比較する際は、経験年数や担当工程、必要スキル、勤務形態、商流などの条件をそろえる必要があります。条件が異なる案件を比較すると、顧客に対して十分な説得力を持たない可能性があります。

また、市場単価だけを根拠にするのではなく、エンジニアの業務成果や顧客への貢献も合わせて説明することが重要です。複数の根拠を組み合わせることで、価格改定の妥当性を伝えやすくなります。

顧客への提供価値を定量的に伝える

単価交渉では、エンジニアの技術力だけでなく、顧客企業にどのような価値を提供しているのかを説明することが重要です。

例えば、業務改善によって月間20時間の作業時間を削減した場合、その成果を具体的な数値として提示できます。

また、システム障害の発生件数や対応時間の削減、開発スケジュールの短縮なども、提供価値を示す指標になります。

ただし、成果を金額に換算する際は、計算条件や前提を明確にする必要があります。

例えば、月間20時間の工数削減に対して、時間単価5,000円を仮定すると、月間10万円相当の削減効果となります。

このように、顧客が理解しやすい指標で成果を示すことで、単価アップの必要性を説明しやすくなります。

営業担当者ごとの交渉状況を管理する

SES企業が継続的に単価を上げるためには、営業担当者ごとの交渉状況を管理することが重要です。

例えば、契約更新予定日や現在の単価、希望する改定単価、交渉結果などを一覧化します。

さらに、単価交渉の実施率や成功率、平均単価の上昇額などをKPIとして設定する方法もあります。

【KPI】: 【計算方法】

– 単価交渉実施率: 交渉実施件数÷交渉対象件数×100
– 直接原価: 単価上昇件数÷交渉実施件数×100
– 粗利益: 改定後平均単価-改定前平均単価
– 粗利率: (改定後単価-改定前単価)÷改定前単価×100

これらの指標を管理することで、営業担当者ごとの課題や改善点を把握しやすくなります。

また、交渉に成功した事例を共有することで、組織全体の営業力向上につなげられます。

SES企業が単価を管理する際の注意点

SES企業が収益性を高めるためには、単価を引き上げるだけでなく、給与や原価、稼働率とのバランスを考える必要があります。

ここでは、SES企業が単価を管理する際に注意したい4つのポイントを解説します。

単価だけでなく粗利額・粗利率を管理する

SES企業が単価を管理する際は、契約単価だけでなく、粗利益額や粗利率も確認する必要があります。

例えば、月額単価が70万円から80万円に上昇しても、給与や関連コストが同じ金額だけ増加した場合、粗利益額は変わりません。

一方、単価が比較的低い案件でも、原価を適切に管理できていれば、一定の利益を確保できる場合があります。

そのため、エンジニアごとに契約単価、直接原価、粗利益額、粗利率を管理することが重要です。

還元率を上げすぎて利益を圧迫しない

SES企業では、エンジニアへの還元率を高めることで、採用力や社員満足度の向上を目指す場合があります。

しかし、還元率を過度に引き上げると、企業が確保できる利益が減少する可能性があります。

例えば、月額単価80万円に対して、給与還元率を60%とした場合、給与相当額は48万円です。

一方、還元率を75%にすると、給与相当額は60万円となり、企業側に残る金額は12万円減少します。

さらに、企業は社会保険料の会社負担分や営業費用、採用費用なども負担する必要があります。

そのため、還元率を設定する際は、企業の利益確保とエンジニアへの適切な報酬を両立できる水準を検討することが重要です。

単価アップとエンジニアの待遇改善を連動させる

SES企業が単価を引き上げる際は、その成果をエンジニアの待遇改善にも反映することが重要です。

例えば、契約単価の上昇に応じて給与や賞与を見直す制度を設ける方法があります。

また、単価アップによって確保した利益の一部を、資格取得支援や研修制度、福利厚生の充実に活用することも考えられます。エンジニアが自身の成長と待遇改善の関係を理解できれば、スキルアップへの意欲を高めやすくなります。

一方、単価が上がっても待遇が変わらない状態が続けば、社員が会社の評価制度に不満を感じる可能性があります。

単価の上昇を企業の利益と社員の成長の両方につなげることが、持続的な組織運営において重要です。

単価・案件・スキル情報を一元管理する

SES企業が単価を適切に管理するためには、エンジニアや案件に関する情報を一元化することが重要です。

例えば、エンジニアごとの保有スキルや経験年数、現在の契約単価、参画案件、契約更新日などを管理します。

さらに、案件ごとの要求スキルや募集単価、商流、契約条件なども整理することで、適切なマッチングや単価交渉に活用できます。情報が営業担当者ごとに分散している場合、案件選定や単価交渉の判断にばらつきが生じる可能性があります。

そのため、営業管理システムや人材管理システムなどを活用し、必要な情報を共有できる環境を整えることが有効です。

まとめ

SESの単価は、エンジニアの経験やスキル、担当工程、商流、市場の需給などによって決まります。

SES企業が単価を上げるためには、市場相場の把握やスキルアップ支援、直接取引の拡大、単価交渉の仕組み化が重要です。

また、単価だけでなく、粗利益や稼働率、エンジニアへの還元率も適切に管理する必要があります。単価の向上と待遇改善を両立させることで、エンジニアの定着とSES事業の持続的な成長につなげましょう。

コラムの一覧へ戻る

RECOMMEND おすすめ記事

DOWNLOAD 資料一覧