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この記事でわかること:
- 企業型DCが放置されやすい、心理的な4つの理由
- 健康・勉強・お金に共通する「先延ばし」のメカニズム
- 放置状態から抜け出すための、一番小さな最初の一歩
はじめに
「あとでやろう」と思ったまま、気づいたら数年が経っていた。
そんな経験、ありませんか?
実は私もそうでした。エージェントグローに入社してから数年間、企業型確定拠出年金(企業型DC)の存在をすっかり忘れていたのです。
正確には、入社時に書類をもらった後、初回ログインはしたものの、商品の選び方がよくわからず、そのまま忘れてしまっていた状態です。
そして後から知ったのですが、個人で積み立てていなくても、会社が毎月お金を出してくれていたのです。その間ずっと、運用されずに現金のまま眠っていたと知ったときは、少しもったいない気持ちになりました。
いま振り返ると、「なぜあのまま放置してしまったのだろう」と思います。
ただ正直に言うと、当時の自分は企業型DCを「大事なもの」とすら感じていませんでした。20代のうちは老後なんてずっと先のことで、そもそも優先順位に入ってこないのだと思います。「大事だとわかっていても動けなかった」というより、「そもそも大事だと気づいていなかった」というのが本当のところです。
この記事では、そんな経験を踏まえながら、なぜ企業型DCは後回しになりやすいのかを少し掘り下げてみます。
同じように「まだ何もしていない」という方の、何かヒントになれば嬉しいです。
なぜ企業型DCは放置されやすいのか
企業型DCは「とりあえず後回し」になりやすい制度です。
なぜか。いくつか理由を考えてみました。
商品数が多くて難しそう
ログインしてみると、投資信託や定期預金など、さまざまな商品が並んでいます。「何を選べばいいかわからない」と感じて、画面を閉じてしまった方も多いのではないでしょうか。
私も最初はそうでした。選択肢が多いほど、人は選ぶことを避けようとします。これは「選択のパラドックス」とも呼ばれる心理で、オプションが増えるほど決断が難しくなるのです。
損したくない気持ち…でも実は既にインフレで損してる
「投資で元本が減るのが怖い」という気持ちはよくわかります。
でも一方で、商品を選ばずに現金のまま眠らせていると、別の意味で損をしています。インフレが続く今の環境では、100円を現金で持ち続けると、数年後にはその100円で買えるものが減っていくからです。
以下の記事でも書きましたが、コンビニのおにぎりが10年前は100円だったのに、今は200円近くしています。放置することも、リスクのひとつなのです。
「ちゃんと理解してから始めたい」…でもやってみたほうがより理解できる
「もっと勉強してから」「しっかり理解してから動こう」という気持ちも、よくわかります。
でも私の実感では、触れてみることで初めてわかることがたくさんあります。自分の残高を確認する、商品の名前を見てみる、それだけでも「あ、こういうものか」と身近に感じられるようになります。
勉強してから動くより、動きながら勉強するほうが、学びが定着しやすいとも感じています。
今すぐ困らないから優先順位が下がる
企業型DCは老後のためのお金です。老後は数十年先の話。「今日困るわけじゃないから、後でいいか」となりやすいのは、ある意味、自然なことかもしれません。
でも、それが「あとでやろう」を数年間続けさせてしまう最大の原因だとも思っています。
人は「重要なこと」ほど先延ばししやすい
企業型DCに限らず、「大事だとわかっているのに後回しにしてしまうこと」は、誰にでもあります。
定期健診を受けること。読もうと思っていた本を読むこと。資格の勉強を始めること。
健康・勉強・お金。これらに共通しているのは、「今すぐ結果が出ない」ことです。
行動経済学では、人間は「今すぐ得られる小さなメリット」を「将来の大きなメリット」より高く評価しやすい、という傾向が知られています(現在バイアス、とも呼ばれます)。
ゲームの続きを今夜やる楽しさ > 老後の資産が増えるという30年後のメリット
比べてみると、当然のことのように見えますね。でもその積み重ねが、気づいたら数年間の放置になっていたりします。
また、重要なことほど「判断するためのエネルギー」が必要になります。どの商品を選ぶか、いくら積み立てるか。決めることが多いと、脳が疲れて「後にしよう」となってしまうのです。これを「決断疲れ」と呼ぶこともあります。
人が先延ばしをしてしまうのは、意志が弱いからではありません。人間の心理として、ごく自然な反応なのだと私は思っています。
自分が最初にやったこと
では、私が企業型DCと向き合い始めたとき、最初に何をしたか。
実はとても地味なことから始まりました。
とりあえずログインしてみた
まず入社時にもらっていた封筒を引き出しの奥から探し出し、書かれていたURLとIDで初回ログインをしました。それだけです。
「何かを決める」ことは、この時点では何もしていません。ただ、画面を開いてみた。それだけです。
残高を確認した
ログインして最初にやったことは、残高の確認でした。
「あ、こんなに積み立てられてたんだ」と気づいた瞬間、少し現実感が出てきました。自分ごとになってきた感じです。
商品一覧を見てみた
次に、どんな商品があるのかを眺めてみました。最初は難しそうに見えましたが、NISAですでに投資信託に少し慣れていたこともあり、「あ、知ってる名前がある」と感じる商品もありました。
NISAで培った目利きで商品を選んだ
NISAで積立投資を始めていたことが、ここで活きました。「インデックスファンドって何か」「オルカンやS&P500って何か」をすでに知っていたので、選択肢の中から自分に合いそうな商品を選ぶことができたのです。
もしNISAをまだ始めていない方は、まずNISAから入るのもひとつの方法だと思います。企業型DCの商品選びに役立つ知識が自然と身につきます。過去の記事も参考にしてみてください。
完璧主義より「まず触ってみる」
私が一番伝えたいことは、これかもしれません。
「完璧に理解してから動く」より「まず触れてみる」ほうが、はるかに前に進める。
「ちゃんとわかってから」「もっと調べてから」「余裕ができたら」…その気持ちはとてもよくわかります。でも、その「ちゃんと」がハードルを上げてしまって、永遠に始められない状態を作り出してしまうことがあります。
最初のログインに、知識は必要ありません。残高確認に、投資の理解は要りません。
放置状態から抜け出すこと自体が、大きな前進です。
心理的なハードルは、触れてみることで下がります。「思ったより怖くなかった」「なんとなくわかった気がする」という体験が、次の一歩をずっと楽にしてくれます。
よくある質問(FAQ)
Q. まだNISAも企業型DCも何もしていません。どちらを先にやればいいですか?
A. どちらでもいいのですが、強いて言えば企業型DCのログインからがおすすめです。会社がすでにお金を出してくれているため、放置しているだけで損をしている可能性があります。まずは残高確認だけでもやってみてください。
Q. 何も知識がないのに商品を選んでいいんでしょうか?
A. 完璧な知識がなくても大丈夫です。過去の記事で選び方の考え方を紹介していますので、参考にしてみてください。まず1つ選んでみるだけでも、現金のまま放置するよりずっと前向きな状態になります。
Q. 先延ばし癖を直すにはどうすればいいですか?
A. 「直す」より「うまく付き合う」ほうが現実的だと思っています。一番の方法は、行動のハードルを極限まで下げることです。「今日は企業型DCのサイトを開くだけ」「ログインするだけ」。それだけでOKと決めてしまう。小さく動くことで、気づいたら動き出していることがよくあります。
おわりに
人が「将来のため」を先延ばしにしてしまうのは、弱さでも怠慢でもなく、人間の心理としてごく自然なことだと私は思っています。
だからこそ、「やる気が出たらやろう」ではなく、「やる気が出る前に小さく動く」という発想が大切なのではないでしょうか。
未来を大きく変えるのは、意外と小さな確認かもしれません。
まずは企業型DCのページを開いてみるだけでも十分です。
社員の方でわからないことがあれば、懇親会などで気軽に声をかけてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
【選ぶだけで未来が変わる!】会社が出してくれる企業型DCの始め方
【NISAを活用】初心者が知っておくべき!投資でよくある5つの失敗とその対策
