この記事はこの記事は Agent Grow Advent Calendar 2023 の記事です。
私は男兄弟の真ん中で育ちました。
両親の方針により、こどものころからあらゆる食べ物を兄弟で分け合う生活をしていました。1)兄弟・姉妹がいるほとんどのご家庭もそうだったと思います
そんな生活をしていた私の中では、どうしても消せないある大きな欲望が渦巻いていました。
自分が満足するまで、好きなものを好きなだけ食べたい
多感な思春期を過ぎても、その欲望がおさまることはありませんでした。
欲望におぼれた20代
ハタチを超えた私は、この欲望を叶えるためにあらゆるものを独り占めしました。
- いちご味のフルーチェ2)個人的にフルーチェの中で一番おいしいと思います
- 3つ入りのプッチンプリン
- ねるねるねるね3)魔女のおばあさんのCMが印象深いですよね
- フルーツがごろごろ入っているゼリー4)風邪ひいたときしか食べれませんでしたよね
- 1.5Lペットボトルのジンジャエール
どれもこどものころから憧れていた食べ物ではありましたが、おとなになった私の財力で独り占めするのは造作もないことでした。
しかしそんな私でもたったひとつだけ独り占めできていないものがありました。
それは我が家では年末年始しか出てこない、幻の豪華料理 豚の角煮 でした。
豚の角煮は市販品も売っていますが、どうもあの味付けには満足できなかったので、これまで独り占めと言えるほど食べてはいませんでした。
とはいえお店でそれほど食べるほどお金をかける気にもなれず、ずっと独り占めできずにいたのです。
30代を折り返した私の新しい挑戦
そんな生活をつづけながら30歳を折り返したとき、これまで叶えたものはどれも誰かが用意したものをお金で買って解決していたことに気づきました。
これではこどものころの私に胸を張って「欲望を叶えたよ!」と言えないのではないかと思い始めました。
そんなことを思いながら私は気づくと、Amazonで圧力鍋のレシピ本を購入していました。
レシピを見てみると、豚の角煮を作るのはそれほど難しくないことがわかりました。
ざっくりとした調理工程は以下のようなものでした。
1.長ねぎ・スライスしたショウガ・豚のブロック肉と水を圧力鍋に入れ、15分程度煮る
2.圧力鍋の中身をざるにあける5)肉のフォルムを見てテンションが上がりすぎ、写真を撮り忘れました
3.豚のブロック肉を好みのサイズに切って、調味料と一緒に圧力鍋に入れて10分程度煮る6)調味料は醤油・酒・みりん・砂糖・水です
※ 実家の作り方をマネてスライスしたショウガも一緒に煮込みました
4.完成
味付けはコツがいりそうですが、調理自体ははっきり言ってカレーの1.5倍くらい簡単そうでした。7)※個人の感想です
「これならいけるぞ!」と思った私は、スーパーへ向かいました。
買い物をしている途中で、
「レシピにはないけど豚の角煮の味付けで煮卵を作ったら 絶対においしいのではないか?」
という天啓にも似たひらめきが降ってきました。
こうして初めての角煮づくりで、レシピにはない煮卵も一緒に作ることになりました。
ゆで卵は作ったことがありませんでしたが、不思議と不安はありませんでした。
なぜなら私は、行きつけの刀削麺のお店で毎回サービスのゆで卵の殻をむいていたからです。
幾度となく食べているので、ゆで卵の取り扱いには自信がありました。
大事なことはすべて刀削麺のお店で習った・・・はずだった
ということで角煮を作る前にゆで卵を作り始めました。8)レシピは某調味料メーカーのものを参考にしました
この玉子たちを鍋に入れて煮たら・・・
冷やす!
これでゆで卵は完成です。
あとはいつも刀削麺のお店でやっていることをやるだけです。
氷と一緒に鍋に入っているゆで卵をみて、私は成功を確信していました。
日本語が全然話せないけど愛想がよい、中国出身と思われる老齢のマスター
お客さんが言ってることがわからず困ってるマスターを助けてくれる中国出身っぽい別のお客さん
それを嫌な顔ひとつせず待っているお客さん
普通盛なのにどう見ても大盛にしか見えない大量の麺が入っているサービス精神旺盛な刀削麺
いきつけの刀削麺のお店は、真の平和とは何かを私に教えてくれるとてもいいお店です。
残る工程はそのステキなお店で学んだゆで卵の殻むきスキルをいかんなく発揮すればいいだけ。成功は約束されています。
そして30分後、ボコボコになったゆで卵がそこにはありました。
すごかったのは成果物をきれいに加工する私などではなく、それを作ったマスターだったのです。
そう、私は一番大切なことを学んていなかったのです。
私はあの刀削麺のお店で何を学んだんだ・・・。
それからしばらくはそんな考えばかり頭をめぐっていました。
こどものころからの欲望叶えて
ゆで卵はかなりてこずりましたが、角煮自体はとてもスムーズに調理できました。
自分で作った角煮の味は想像していたよりおいしくできていて、今年初めてご飯を3杯ほどお代わりをしました。9)食べ過ぎて翌日胃もたれしたのは内緒です
これまでフルーチェなどを食べた時とは違い、この角煮を食べた時には「やればできるじゃん!」と自分を見直しました。
これでひとまずこどものころの私に胸を張ることができます。
ちなみに煮卵は普通においしかったです。10)形が多少悪くても、口に入れちゃえば全然関係ないですよね!
次なる欲望
ずっと叶えることができなかったこどものころからの欲望を叶えることができたので、おいしい豚の角煮を作ることができてひとまず満足しています。
そして、今回新しい欲望が私の中に生まれました。
きれいなゆで卵を作りたい
人間の欲望には終わりがないですね。
来年はそれを目標に生きていこうと思います。