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お給料から天引きされる健康保険料について世界一わかりやすく解説【Agent Grow Advent Calendar 2022:6日目】

この記事は Agent Grow Advent Calendar 2022 6日目の記事です。

おはようございます、エージェントグローの笠野です。
普段は大阪でRubyの案件に携わっています。

Ruby関連の技術的な記事を書きたかったのですが大層な技術ネタがないため、今回は前職の勤怠管理や給与計算を行うシステムを開発していたときに培った知識を皆様にわかりやすくシェアしたいと思います。

さっそくですが、会社員のみなさまに質問です。1)フリーランスの方の場合は少し違うので参考程度にごらんください
給与からいつも天引きされている保険料について疑問に思ったことはないでしょうか?

  • 「給料から勝手に色々引かれてるけどよくわかんない!てか高スギィ!」
  • 「健康保険料って何を根拠に計算されてんの?」

などなど。一度は疑問に思われたことがあるのではないでしょうか?

この記事を読んでいただくことで「なんかよくわからないけどとりあえず天引きされている」という状態から一歩だけ!踏み出す一助になれたら幸いです。

ちなみに今回は給与から天引きされる健康保険料についてのみ取り上げます。介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・源泉所得税などはまたの機会に。

健康保険料って何?

「3割負担」なんて言葉聞いたことないでしょうか。
病院に行って診察を受ける際に「3割の負担で大丈夫ですよ」というものです。

じゃあ残りの7割は?
……これは健康保険組合が支払ってくれています。当然原資は我々が納めている保険料です。
だから病院では保険証を見せたり、「保険証変わってたら見せてくださいね」なんて言われるわけです。
保険証を確認すれば、どこに請求したらいいのかがハッキリしますからね。

健康保険組合って何?

健康保険組合について軽く触れておくと、これは会社単位で加入するものです。
その会社の社員全員はその健康保険組合に加入している扱いになります。

私の所属する株式会社エージェントグローは「関東ITソフトウエア健康保険組合」という健康保険組合に加入していますが、大抵の中小企業は「協会けんぽ」という都道府県単位で存在している健康保険組合に加入している場合が多いようです。また、TOYOTAとか日立とかSONYとかの大企業になってくると、グループ独自の保険組合を作っていて、社員はそこに加入しています。

ちなみに健康保険料の半分は会社が負担してくれています。
健康保険組合によっては半分でない場合もあります。これ、地味にフリーランスでは享受できない会社員のメリットのひとつだと思っています。私は過去に新卒で入った会社を辞めた後半年くらい実家でニートしていたのですが、その間、国民健康保険に入っていました。会社が半分払ってくれるということが無いということもあり高額だったのを覚えています2)毎月3万くらい払ってた気がする

健康保険組合には基本的に会社員じゃないと入れないので、無職・自営業・フリーランスは基本的に国民健康保険、略して国保、に入るしかありません。
退職時に元々加入していた健康保険組合に任意継続、ということも可能ではありますが、その場合も会社折半は無しで全額自己負担です。

無職になると色々金がかかるので、退職の際は次の就職先を見つけたほうが色々とお得かもしれませんね☆

払わないといけないの?

「私は健康保険なんていらないので給料から健康保険料引いてほしくないです!」という主張は日本では通りません。なぜなら、日本という国は「国民皆保険」を採用しているため、原則としてすべての国民が何らかの健康保険に加入する必要があります。

ですが、加入しなくても催促などをされることはないと聞いたりもしますが……
その間に万が一病気とかになったりしたら、全額自己負担ですのでオススメはしません!

「あれ?私アルバイトしてたときは健康保険料とか引かれてなかったけど?」と思われた方、いい質問するねぇ~。(純士久しぶり)

主婦や学生などで他の家族の扶養に入ってたりしていませんか?その場合、すでにそっちの健康保険に入っているため加入する必要がありません。
また、別に他の家族の扶養に入っていない場合でも、アルバイトだから健康保険に入れない、というわけではありません。所定の労働時間がある程度長い方であれば正社員と同様に健康保険に加入できます。

最近はその要件が緩和されたみたいです。政府は非正規雇用の健康保険・厚生年金加入を最近進めているように感じますが、個人的にはこれは非正規雇用の方には全然悪い話では無いと思っています。

ということなので、健康保険料は払わないといけないことになっています。

健康保険料ってどうやって決まるの?

標準報酬月額 × 保険料率

で決まっています。賞与(ボーナス)の場合は少しだけ違う計算になります。
会社がどの健康保険組合に加入していてもこの計算式は変わりません。しかし、組合によって保険料率は違います。

さてさて、「標準報酬月額」「保険料率」どちらの用語もおそらくあまり馴染みがない言葉ですよね。一体何なのでしょうか。

標準報酬月額

これは、50ほどの等級により区分されている金額で、基本給+各種手当の合計で等級が決まります。どの健康保険組合でもこの等級による区分分けが行われています。

具体的には以下の表のようになっていて、基本給+各種手当の合計によって標準報酬月額が決まります。この「基本給+各種手当の合計」を専門的には報酬月額と呼びます。

等級 標準報酬月額 基本給+各種手当の合計
1 58,000 ~63,000未満
2 68,000 63,000~73,000未満
3 78,000 73,000~83,000未満
: : :
18 220,000 210,000~230,000未満
19 240,000 230,000~250,000未満
20 260,000 250,000~270,000未満
21 280,000 270,000~290,000未満
: : :
49 1,330,000 1,295,000~1,355,000未満
50 1,390,000 1,355,000未満

例えば、「月給20万円、固定残業代4.5万円、役職手当1万円」のAさんは「基本給+各種手当の合計」が25.5万円になりますので、標準報酬月額は20等級の26万円、ということになります3)ちなみに自分の標準報酬月額がいくらなのか、給与明細に載っている場合もあるようです。株式会社エージェントグローの給与明細には載っていませんので後述のとおり計算してみましょう。

標準報酬月額の改定(定時決定)

標準報酬月額は毎月コロコロ変わるものではなく、基本的に年1回今の給与とのギャップが生じないよう毎年計算しなおされます。この計算しなおすことを専門的には定時決定といいます。給料が途中で大幅に変わったりしたような場合はこの限りではありません。

だいたい4~6月の給与を基に毎年改定されます。なので、この4~6月の時期の給料はできれば抑えたほう保険料的には得と言えます。

ですので、例えば”資格を取得したら資格手当として一時金が貰えます!”という制度があるような会社では、このことを念頭に置いておくことをおすすめします。株式会社エージェントグローでも周知メールでこの件について解説されていましたね。

なぜなら、このような報酬は標準報酬月額を計算する「基本給+各種手当の合計」に含められてしまうためです。うっかり資格手当の一時金をこの時期に貰ってしまうと、それから1年間標準報酬月額が少し高く計算されてしまうため給料から引かれる健康保険料が上がってしまう、ということになります。

(余談ですが株式会社エージェントグローに入ると確定拠出年金というのがありますね。あれがどうして節税になりうるかというと、確定拠出年金で給料から運用に回すために差し引かれた分「基本給+各種手当の合計」が安くなるため、結果的に標準報酬月額が下がる可能性があるためです。)

保険料率

これは加入している健康保険組合のホームページに載っています。「保険組合の名前 保険料率」とかでggrとでてきます。

株式会社エージェントグローが加入している「関東ITソフトウエア健康保険組合」の保険料率を調べてみましょう。

こちらに載っていました。
85/1000、つまり8.5%です。半分は会社が負担してくれるため、我々の給料から天引きされているのは、半分の4.25%になります。

自分の健康保険料(または標準報酬月額)を計算してみよう

これで我々は「標準報酬月額」と「保険料率」という2つのパーツを手にしました。

さて計算してみましょう。
さきほどの「月給20万円、固定残業代4.5万円、役職手当1万円」のAさんは標準報酬月額が26万円なのでこれに保険料率4)今回はさきほどの関東ITソフトウエア健康保険組合の保険料率を使いますの4.25%を掛け算して

標準報酬月額 × 保険料率
= 260,000 × 4.25%
= 11,050

はい、この11,050円がAさんの給料から引かれる健康保険料になります。
意外と簡単ですよね。

ご自身の標準報酬月額がわからない方(だいたいそうだと思いますが)は

給料から引かれている健康保険料 ÷ 4.25%

で標準報酬月額を計算してみてください。だいたいご自身の基本給+固定残業代の金額が属する等級の標準報酬月額くらいになっているかと思います。

標準報酬月額と保険料の一覧表

標準報酬月額と健康保険料の一覧表はどこの組合でも作ってくれています。
関東ITソフトウエア健康保険組合の2022年度の一覧表はこちら

(参考)協会けんぽの場合

ちなみに大抵の中小企業が加入している協会けんぽの保険料率はこちら
都道府県ごとに異なっているのですが、どこも関東ITソフトウエア健康保険組合より高いですね。健康保険の場合は厚生年金のように保険料率が高い分リターンも増えるというようなことは無いです(そのハズ)。

さて、さきほどの「月給20万円、固定残業代4.5万円、役職手当1万円」のAさんの会社が、仮に協会けんぽ東京(保険料率)に所属していた場合を考えてみましょう。

計算してもいいのですが、こちらの東京都協会けんぽの表を見てみましょう。

色々な列がありますが、見る場所はここです。

つまり、この場合のAさんの健康保険料は12,753円となり、先ほどの関東ITソフトウエア健康保険組合の場合よりも1,700円ほど高いです。
このことからも関東ITソフトウエア健康保険組合は協会けんぽよりも少しお得と言えます。大企業の健康保険組合は関東ITソフトウエア健康保険組合よりももう少し安いです^^;月1,700円、地味な金額ですが結構大きいですよね。

まとめ

本記事の内容をまとめると以下です。

給与から天引きされる健康保険料は

  • 我々の医療費負担に役立っている
  • 標準報酬月額 × 保険料率 で計算される
  • 会社も半分くらい払ってくれている
  • 協会けんぽよりは関東ITソフトウエア健康保険組合は少しお得!

以上です。もっと詳しく知りたい方は給与計算実務検定のテキストなどをご覧ください。お疲れ様でした。

注訳はこちら

注訳はこちら
1 フリーランスの方の場合は少し違うので参考程度にごらんください
2 毎月3万くらい払ってた気がする
3 ちなみに自分の標準報酬月額がいくらなのか、給与明細に載っている場合もあるようです。株式会社エージェントグローの給与明細には載っていませんので後述のとおり計算してみましょう。
4 今回はさきほどの関東ITソフトウエア健康保険組合の保険料率を使います
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{ この記事を書いた人 }

Kasano

エージェントグローでRuby案件やってます。
趣味は献血です。不足しがちなO型を提供したい、、、が、最近脈が早くて献血できないことが多いので困ってます。

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