計画有給とは?対象者・年5日義務・年間休日との違いを徹底解説!

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計画有給とは?対象者・年5日義務・年間休日との違いを徹底解説!

働き方改革関連法の施行以降、「計画有給」という言葉を耳にする機会が増えました。

しかし、計画有給とはどのような制度なのか、年5日の取得義務は誰が対象になるのか、会社が有給日を指定できるのか、また従業員は拒否できるのかなど、制度の内容を正確に理解できていないケースも少なくありません。

計画有給は単なる有給取得の促進策ではなく、企業の労務管理や年間休日の設計にも関わる重要な制度です。本記事では、計画有給の基本から対象者、拒否の可否、年間休日との関係までをわかりやすく解説します。

計画有給(年次有給休暇の計画的付与)とは?

計画有給とは、「年次有給休暇の計画的付与制度」の通称であり、企業があらかじめ取得日を決めて従業員に有給休暇を取得させる制度のことを指します。

通常、有給休暇は従業員が希望するタイミングで取得するものですが、この制度では労使協定を締結したうえで、会社が一定の日程を決めて計画的に取得させることが可能になります。

近年では働き方改革の影響もあり、有給休暇の取得促進が企業に強く求められるようになりました。その中で、有給休暇が十分に取得されていない企業において、取得率を高める手段として計画有給制度を導入するケースが増えています。

計画有給制度が必要になった理由

計画有給制度が導入される背景には、有給休暇の取得率の低さという課題があります。日本では以前から、忙しさや職場の雰囲気などを理由に、有給休暇を十分に取得できない従業員が多いと指摘されてきました。

こうした状況を改善するため、働き方改革関連法の施行により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、企業が年5日の有給休暇を確実に取得させることが義務化されました。これにより、企業側にも有給取得を促進する責任が生じています。

計画有給制度を導入することで、企業はあらかじめ休暇取得日を設定できるため、有給休暇の取得を確実に進めやすくなります。また、従業員にとっても計画的に休暇を取得できるため、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなるというメリットがあります。

計画有給の対象者

計画有給制度は、すべての有給休暇を対象にできるわけではありません。制度を利用する場合には、従業員が自由に取得できる有給休暇の日数を一定程度残しておく必要があります。

一般的には、付与された年次有給休暇のうち「5日を超える部分」について、計画的付与の対象とすることができます。

例えば、年間10日の有給休暇が付与される従業員の場合、5日分は従業員が自由に取得できる日として残し、残りの5日分を計画有給として設定することが可能です。

計画有給と年間休日の関係

計画有給は、有給休暇を利用して休暇日を設定する制度であるため、企業の年間休日とは性質が異なります。年間休日とは、企業があらかじめ定めている休日(週休や祝日、会社独自の休暇など)のことを指します。

一方で、計画有給は従業員に付与されている年次有給休暇を利用して休みを取得する仕組みです。そのため、計画有給の日数は年間休日とは別に考える必要があります。

計画年休の設定方式

計画年休(年次有給休暇の計画的付与)を導入する際には、どのような方法で有給休暇を取得させるかを決める必要があります。企業の業種や勤務形態によって最適な運用方法は異なるため、実際の業務に支障が出ないように制度設計を行うことが重要です。

一般的には「一斉付与方式」「交代制付与方式」「個別付与方式」の3つの方法があり、企業の運営状況や働き方に応じて適切な方式を選択します。ここでは、それぞれの設定方式の特徴について解説します。

一斉付与方式

一斉付与方式とは、会社や部署の従業員が同じ日にまとめて計画年休を取得する方式です。例えば、年末年始の前後やお盆期間、ゴールデンウィークの間に有給休暇を設定し、全社員が同時に休暇を取得するようにするケースなどが挙げられます。

この方式のメリットは、業務の調整がしやすい点です。全員が同じ日に休暇を取得するため、特定の従業員が不在になることで業務に支障が出るリスクを減らすことができます。

また、会社全体で休業日を設定することで、設備の稼働を止めることができるなど、コスト面でのメリットが生じる場合もあります。

ただし、業務の性質によっては一斉に休暇を取得することが難しい場合もあるため、導入には業種や業務内容を考慮する必要があります。

交代制付与方式

交代制付与方式とは、部署やチームごと、または従業員ごとにグループを分け、順番に計画年休を取得する方式です。

例えば、Aグループは特定の週に休暇を取得し、Bグループは別の週に取得するなど、業務が継続できるように休暇日を分散させて設定します。

この方式は、業務を完全に止めることが難しい企業や、常に一定数の従業員が勤務している必要がある職場で多く採用されています。例えば、サービス業やコールセンター、IT運用業務などでは、交代制の計画年休が適しているケースがあります。

一方で、シフトの調整や業務の引き継ぎなどが必要になるため、事前に十分な計画を立てて運用することが重要です。

個別付与方式

個別付与方式とは、企業が従業員ごとに計画年休の取得日を設定する方法です。例えば、従業員ごとの業務状況やスケジュールを考慮しながら、個別に休暇日を決めていく形になります。

この方式の特徴は、柔軟な運用ができる点です。従業員の業務内容や繁忙期などを踏まえて休暇日を調整できるため、業務への影響を最小限に抑えながら計画年休を取得させることができます。

ただし、個別にスケジュールを調整する必要があるため、管理担当者の負担が大きくなる場合があります。また、従業員間で休暇取得のタイミングに差が出ることもあるため、公平性を保つためのルールづくりも重要になります。

計画有給を導入するメリット

計画有給制度を導入することで、企業と従業員の双方にさまざまなメリットがあります。近年では働き方改革の影響もあり、有給休暇の取得促進が企業に求められるようになっています。

ここでは、計画有給制度を導入する主なメリットについて解説します。

有給取得義務違反を防げる

働き方改革関連法により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、企業は年5日の有給休暇を確実に取得させることが義務化されています。もしこの義務を果たせない場合、企業が法令違反となる可能性があります。

計画有給制度を導入することで、企業があらかじめ有給休暇の取得日を設定できるため、確実に有給取得を進めることができます。従業員の自主的な取得だけに任せる場合と比べて、取得漏れを防ぎやすくなる点が大きなメリットです。

管理コスト削減

計画有給を導入することで、勤怠管理や休暇管理にかかる業務負担を軽減できる場合があります。例えば、企業があらかじめ休暇日を設定することで、有給休暇の取得状況を個別に細かく管理する必要が減ることがあります。

また、会社全体で休暇を取得する日を設定すれば、業務スケジュールの調整もしやすくなります。従業員ごとに個別の休暇申請を処理する手間が減るため、管理担当者の業務効率の向上にもつながります。

従業員満足度向上

計画有給制度は、従業員の働きやすさを向上させる効果も期待できます。あらかじめ休暇の予定が決まっていることで、旅行や家庭の予定などを立てやすくなり、プライベートの時間を充実させることができます。

また、職場によっては「忙しくて有給を取りづらい」という雰囲気がある場合もありますが、計画有給であれば会社全体の制度として休暇を取得するため、心理的な負担が少なくなります。その結果、従業員の満足度やモチベーションの向上につながることもあります。

労務リスク低減

計画有給を導入することで、労務トラブルのリスクを減らす効果も期待できます。有給休暇の取得状況が曖昧なままだと、取得義務違反や労働時間管理の問題が発生する可能性があります。

計画有給制度を活用すれば、有給休暇の取得状況を明確に管理できるため、法令違反のリスクを低減することができます。また、従業員が適切に休暇を取得することで、過度な長時間労働を防ぎ、健康管理の面でもメリットがあります。

このように、計画有給は企業の労務管理を安定させるための有効な制度の一つといえるでしょう。

計画有給を導入するデメリット

計画有給制度は有給休暇の取得促進や労務管理の効率化といったメリットがある一方で、導入や運用にあたって注意すべき点もあります。ここでは、各デメリットについても解説します。

労使協定を結ぶ手間がある

計画有給制度を導入するためには、企業が一方的に決めるのではなく、労働者側の代表と労使協定を締結する必要があります。これは法律で定められている要件であり、協定を結ばずに計画有給を実施することはできません。

そのため、制度導入の際には労働者代表の選出や協定内容の検討、社内への説明など、一定の手続きが必要になります。また、企業の状況によっては従業員との調整が必要になることもあり、導入までに時間がかかる場合もあります。

対象外の従業員に配慮する必要がある

計画有給制度は、すべての従業員に同じように適用できるとは限りません。例えば、有給休暇の付与日数が少ない従業員や、入社して間もない従業員などは、計画有給の対象にできない場合があります。

また、業務の性質によっては、全員が同じ日に休暇を取得することが難しい職場もあります。そのような場合には、対象外となる従業員への配慮や、別の休暇取得方法を検討する必要があります。制度を導入する際には、従業員間で不公平感が生じないようにルールを整備し、適切に運用していくことが重要です。

計画有給導入の手順

計画有給制度を導入するためには、法律に沿った手続きや社内の制度設計を行う必要があります。単に休暇日を決めるだけではなく、就業規則の確認や労使協定の締結、従業員への周知など、いくつかのステップを踏むことが重要です。

ここでは、計画有給を導入する際の一般的な手順について解説します。

就業規則確認

計画有給制度を導入する際には、まず自社の就業規則を確認することが重要です。就業規則には、年次有給休暇の付与条件や取得方法などが定められているため、計画的付与制度と整合性が取れているかを確認する必要があります。

もし就業規則に計画有給に関する記載がない場合には、制度導入に合わせて内容を見直すことも検討します。また、制度の運用方法や対象となる有給休暇の日数などについても、社内ルールとして整理しておくことが重要です。

就業規則を事前に確認しておくことで、制度導入後のトラブルを防ぎ、適切な運用につなげることができます。

労使協定締結

計画有給制度を実施するためには、労働者代表との間で労使協定を締結する必要があります。労使協定とは、企業と従業員側の代表が合意した内容を文書として取り交わすもので、法律上の要件として定められています。

協定では、計画的付与の対象となる有給休暇の日数や取得方法、対象となる従業員の範囲などを明確に定めます。また、企業が一方的に制度を決めるのではなく、従業員側の代表と十分に話し合ったうえで合意を形成することが重要です。

この手続きを適切に行うことで、制度の正当性を確保し、従業員の理解を得やすくなります。

対象者選定

次に、計画有給の対象となる従業員を選定します。計画的付与制度では、従業員が自由に取得できる有給休暇の日数を一定程度残しておく必要があるため、すべての有給休暇を計画有給として設定することはできません。

一般的には、付与された有給休暇のうち5日を超える部分が計画的付与の対象となります。そのため、付与日数や勤続年数などを確認しながら、対象となる従業員を整理することが重要です。

また、入社したばかりの従業員や有給休暇の付与日数が少ない従業員など、制度の対象外となるケースもあるため、その点にも配慮しながら対象者を決定する必要があります。

年間スケジュール作成

計画有給制度を運用するためには、あらかじめ年間スケジュールを作成することが重要です。例えば、会社全体で休暇を取得する日を設定する場合や、部署ごとに取得日を分ける場合など、業務への影響を考慮しながら日程を決めます。

特に繁忙期や重要な業務が集中する時期を避けるなど、企業の業務スケジュールと調整しながら計画を立てることが大切です。また、従業員の意見を参考にすることで、より実態に合ったスケジュールを作成することができます。

計画的にスケジュールを設定しておくことで、業務への影響を抑えながら休暇取得を促進することが可能になります。

社内周知

計画有給制度を円滑に運用するためには、制度内容を従業員にしっかりと周知することが重要です。制度の目的や取得方法、対象となる日数などを明確に説明し、従業員が制度を正しく理解できるようにする必要があります。

例えば、社内説明会を開催したり、社内ポータルやメールで制度内容を共有したりする方法があります。また、勤怠管理システムなどに計画有給の日程を反映させておくことで、従業員が確認しやすくなります。

このように、制度導入後の運用をスムーズにするためには、事前の丁寧な周知が欠かせません。適切な情報共有を行うことで、従業員の理解と協力を得ながら制度を定着させることができます。

計画年休の導入に向いている企業

計画年休は、すべての企業にとって有効な制度ですが、特に導入効果が高い企業の特徴があります。ここでは、計画年休の導入に向いている企業の特徴について解説します。

年間休日や休業日が固定されている企業

年間休日や休業日が比較的固定されている企業は、計画年休を導入しやすい傾向があります。

例えば、土日祝日が休みの企業や、夏季休暇・年末年始休暇などの休業日が毎年ほぼ同じ時期に設定されている企業では、あらかじめ休暇日を計画に組み込みやすいためです。

こうした企業では、既存の休日と組み合わせて計画年休を設定することで、長期休暇を作ることも可能になります。例えば、大型連休の前後に計画年休を設定することで、従業員がまとまった休暇を取得できる環境を整えることができます。

結果として、従業員の満足度向上や働きやすい職場づくりにもつながります。

繁忙期と閑散期が明確な企業

繁忙期と閑散期が明確な企業も、計画年休の導入に向いています。例えば、特定の時期に業務が集中する業種では、繁忙期を避けて閑散期に計画年休を設定することで、業務への影響を抑えながら有給取得を促進することができます。

特に製造業や物流業、サービス業などでは、年間の業務量がある程度予測できる場合が多いため、計画的に休暇日を設定することが可能です。閑散期に休暇取得を集中させることで、業務の効率化や人員配置の最適化にもつながります。

このように、業務量の波がある企業では、計画年休を活用することで組織全体の働き方を調整しやすくなります。

有給取得率が低い企業

従業員の有給取得率が低い企業も、計画年休の導入を検討する価値があります。

有給休暇は本来、従業員の権利として取得できるものですが、業務の忙しさや職場の雰囲気などの理由から、取得が進まないケースも少なくありません。

こうした場合、計画年休を導入することで、企業側が休暇日をあらかじめ設定することができるため、従業員が有給を取得しやすくなります。また、年5日の有給取得義務への対応としても有効です。

有給取得率が低い状態を放置すると、労務リスクが高まるだけでなく、従業員の疲労蓄積やモチベーション低下につながる可能性があります。計画年休は、こうした課題を改善する手段として有効です。

勤怠管理を効率化したい企業

勤怠管理の負担を軽減したい企業にも、計画年休は有効な制度です。従業員が個別に有給申請を行う場合、申請・承認・管理の手続きが増え、管理部門の業務負担が大きくなることがあります。

計画年休を導入すると、あらかじめ休暇日を設定しておくことができるため、個別申請の回数を減らすことができます。これにより、管理業務の効率化や勤怠管理の簡素化につながります。

また、勤怠管理システムと連携することで、休暇日を自動的に反映させることも可能になります。結果として、管理担当者の負担を軽減しながら、正確な勤怠管理を実現することができます。

多拠点・多人数の従業員を抱える企業

多拠点で事業を展開している企業や、従業員数が多い企業では、個別の有給管理が複雑になりやすい傾向があります。従業員が多くなるほど、有給取得状況の把握や管理が難しくなり、管理業務の負担も増加します。

計画年休を導入すると、会社全体で統一した休暇日を設定できるため、管理の効率化につながります。また、拠点ごとに計画年休を設定することで、それぞれの業務状況に合わせた運用も可能です。

こうした制度を取り入れることで、企業全体の勤怠管理を整理しやすくなり、労務管理の透明性を高めることにもつながります。

まとめ

計画有給は、企業があらかじめ休暇日を設定することで、従業員の有給取得を促進できる制度です。

制度を導入することで、有給取得率の向上や労務リスクの低減、勤怠管理の効率化といったメリットが期待できます。一方で、労使協定の締結や制度設計などの準備が必要になるため、事前に就業規則の確認や運用ルールの整理を行うことが重要です。

計画有給は、単に休暇を設定する制度ではなく、従業員が安心して休める環境を整えるための重要な仕組みです。企業の業務状況や働き方に合わせて適切に導入・運用することで、働きやすい職場づくりや健全な労務管理の実現につながるでしょう。

こうした課題を解決するためには、勤怠管理や休暇管理を効率化できるシステムの活用も重要です。

SES・IT企業向けの業務管理プラットフォーム「Fairgrit」では、勤怠管理や案件管理、契約管理などを一元化することで、複雑になりがちな労務・業務管理を効率化することができます。

計画有給のような制度を適切に運用するためにも、自社の働き方に合った管理体制を整えることが重要です。ツールを活用して管理負担を軽減しながら、従業員が安心して休暇を取得できる環境づくりを進めていくことが、健全な組織運営につながるでしょう。

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