システム開発はSESと派遣どっちがいい?契約・コスト・リスクから選び方を解説!

COLUMN

お役立ち情報

システム開発はSESと派遣どっちがいい?契約・コスト・リスクから選び方を解説!

自社システム開発を進めるうえで、外部人材をどの形で活用するかは重要な判断です。「SESと派遣、どちらを選ぶべきか?」は、多くの企業が悩むテーマです。

そこで本記事では、企業側の視点から、契約形態・コスト・リスク・マネジメント面の違いを整理し、自社に最適な開発体制の考え方を解説します。

本記事をお読みいただくことで、自社システム開発における発注先選定の考え方のポイントを理解し、自社の発注先選定にお役立ていただけますので、是非とも最後までお読みください。

企業が検討すべき「SES」と「派遣」の使い分け

自社のシステム開発において、外部人材をどのように活用するかは、プロジェクトの成功に大きな影響を与えます。

特に「SES」と「派遣」の選択は、企業にとって重要な判断となります。これらの手法は、それぞれ異なる特性を持ち、プロジェクトの性質や社内リソースの状況によって使い分ける必要があります。

開発プロジェクトの性質(要件定義~保守までの範囲)

システム開発において、プロジェクトの性質はSESと派遣の選択に大きな影響を与えます。

まず、要件定義から保守までのプロセスを考慮することが重要です。要件定義や設計段階では、専門的な技術力や経験が求められるため、SESの利用が適しています。SESは、特定の技術や知識を持ったエンジニアをプロジェクトに投入できるため、複雑な要件に対しても柔軟に対応できます。

一方、開発が進み、実装やテスト、さらには保守フェーズに入ると、社内リソースの補完が求められることが多くなります。

この場合、派遣社員を活用することで、必要な人数を確保しつつ、コストを抑えることが可能です。派遣は、特定のスキルを持った人材を短期間で確保できるため、プロジェクトの進行に合わせてリソースを調整しやすいという利点があります。

コスト・契約・管理の観点から比較する

システム開発において、SESと派遣の選択は、コスト、契約、管理の観点から慎重に行う必要があります。

費用構造の違い(時間単価/派遣マージン)

システム開発における「SES」と「派遣」の費用構造は、選択の際に非常に重要な要素です。まず、SESの場合、一般的には時間単価制が採用されており、エンジニアのスキルや経験に応じて単価が設定されます。

このため、高度な技術力を持つエンジニアを依頼する場合、単価が高くなる傾向がありますが、その分、プロジェクトの成功に寄与する可能性も高まります。

一方、派遣の場合は、派遣マージンが発生します。これは、派遣会社がエンジニアを企業に提供する際に上乗せされる手数料であり、派遣社員の給与に加えて、派遣会社の利益が含まれています。

派遣マージンは、業界や地域によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。派遣社員のスキルや経験に応じて、マージンが変動することもあります。

契約リスクと法的注意点(偽装請負・労働者派遣法)

システム開発において、SESと派遣の選択は、契約リスクや法的な注意点を十分に理解した上で行う必要があります。特に、偽装請負や労働者派遣法に関する知識は、企業が法的トラブルを避けるために不可欠です。

まず、偽装請負とは、実際には労働者派遣に該当するにもかかわらず、SES契約として取り交わされることを指します。この場合、労働者派遣法に違反する可能性があり、企業は法的責任を問われるリスクがあります。

SES契約では、エンジニアが自社の指揮命令の下で業務を行うことが求められますが、実際には派遣労働者と同様の働き方をしている場合、偽装請負と見なされることがあります。

次に、労働者派遣法についてですが、この法律は派遣労働者の権利を保護するために制定されています。企業が派遣を利用する際には、派遣元と派遣先の契約内容が法令に則っているかを確認することが重要です。

マネジメント上の違い(進捗管理・成果責任の所在)

システム開発におけるマネジメントは、プロジェクトの成功に直結する重要な要素です。SESと派遣では、進捗管理や成果責任の所在において明確な違いがあります。

SESの場合、外部のエンジニアがプロジェクトに参加するため、企業側は彼らの進捗を管理する責任があります。

SES契約では、エンジニアが持つ専門的な技術や知識を活用し、プロジェクトの成果に対しても一定の責任を負うことが求められます。したがって、企業は進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて方向性を修正することが重要です。

SESを選ぶ際の注意点と成功のポイント

SESを選ぶ際には、いくつかの重要な注意点と成功のポイントがあります。ここでは、各ポイントについて解説します。

技術力・契約透明性・元請け構造をチェック

SESを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを確認することが必要です。

まず最初に考慮すべきは、技術力です。SESを提供する企業のエンジニアが持つ専門的なスキルや経験は、プロジェクトの成功に直結します。特に、特定の技術やプラットフォームに精通したエンジニアが必要な場合、その企業の過去の実績やプロジェクト事例を確認することが重要です。

さらに、契約の透明性も見逃せません。SES契約は、業務内容や成果物の定義が曖昧になりがちです。契約書において、業務範囲や責任の所在が明確に記載されているかを確認し、後々のトラブルを避けるための対策を講じることが求められます。

ベンダー任せにせず、成果の可視化を図る

SESを利用する際には、外部のベンダーに開発を任せることが一般的ですが、単にベンダーに依存するだけでは成功を収めることは難しいです。プロジェクトの進行状況や成果物の品質を把握するためには、成果の可視化が不可欠です。

具体的には、定期的な進捗報告や成果物のレビューを行い、開発の各フェーズでの状況を確認することが重要です。

また、成果の可視化には、具体的な指標を設定することが効果的です。例えば、開発の進捗を示すKPI(重要業績評価指標)を設けることで、目標達成度を数値で把握できます。

複数SES会社の活用で柔軟性を高める

システム開発において、複数のSES会社を活用することは、柔軟性を高めるための有効な戦略です。特に、プロジェクトの進行状況や技術的な要件が変化する中で、単一のSES会社に依存することはリスクを伴います。

複数のSES会社を利用することで、各社の得意分野や技術力を活かし、プロジェクトに最適なリソースを確保することが可能になります。

例えば、あるSES会社が特定の技術に強みを持っている場合、その技術が必要なプロジェクトにはその会社を選定し、別のSES会社が得意とする分野にはそちらを活用することで、全体の開発効率を向上させることができます。

派遣を活用する際のメリット・注意点

派遣を活用することには、いくつかのメリットがあります。ここでは、各メリット・注意点について解説します。

長期安定稼働に向いた人材確保が可能

派遣を活用する際の大きなメリットの一つは、長期的な安定稼働に向けた人材の確保が可能である点です。

特に、プロジェクトが長期にわたる場合や、継続的なシステム保守が必要な場合、派遣社員はそのニーズに応じた柔軟な対応ができるため、企業にとって非常に有益です。

派遣社員は、特定のスキルセットを持った人材を短期間で確保できるため、急な人手不足や専門知識が必要なプロジェクトに対しても迅速に対応できます。

また、派遣契約は比較的短期間での契約が可能なため、企業は必要な時に必要な人材を確保しやすく、リソースの最適化が図れます。

法令遵守・管理体制の整備が重要

派遣を活用する際には、法令遵守と管理体制の整備が不可欠です。

特に、労働者派遣法に基づく規制を理解し、適切に運用することが求められます。派遣社員の労働条件や契約内容が法令に則っているかを確認することで、企業は法的リスクを回避し、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、派遣社員の管理体制を整えることも重要です。派遣先企業は、派遣社員の業務内容や進捗状況を把握し、適切な指導やサポートを行う必要があります。これにより、派遣社員がスムーズに業務を遂行できる環境を整えることができ、結果としてプロジェクトの成功に繋がります。

さらに、派遣社員の教育や研修も考慮するべきポイントです。特に、企業の文化や業務プロセスに適応できるようにするためには、一定の教育コストが発生します。これを怠ると、派遣社員が業務に馴染めず、パフォーマンスが低下するリスクがあります。

機密情報管理や教育コストも考慮する

派遣を活用する際には、機密情報の管理と教育コストについても十分に考慮する必要があります。特に、外部からの人材を受け入れる場合、自社の重要な情報が漏洩するリスクが高まります。

また、派遣社員が自社の業務にスムーズに適応できるよう、教育コストも考慮する必要があります。新たに派遣された人材が業務を理解し、即戦力として活躍するためには、一定のトレーニングやオリエンテーションが必要です。この教育にかかるコストは、単に人件費だけでなく、時間やリソースの面でも影響を及ぼします。

したがって、派遣を選択する際には、これらのコストを事前に見積もり、予算に組み込むことが重要です。

まとめ

本記事では、契約形態やコスト、リスク、マネジメントの観点からSESと派遣の違いを整理しました。企業はこれらの情報を基に、自社のニーズに最適な開発体制を選択することが求められます。

最終的には、企業の特性やプロジェクトの要件に応じて、柔軟に選択肢を組み合わせることが成功の鍵となります。自社の発注先選定において、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

コラムの一覧へ戻る

RECOMMEND おすすめ記事

DOWNLOAD 資料一覧