SESと業務委託の違いとは?頼むべきSES企業の特徴も解説

SESと業務委託はどちらも外部リソースを活用する手法ですが、契約形態や責任範囲、コスト構造が大きく異なります。
SESはエンジニアの労働提供に対して時間単価で支払うのに対し、業務委託は成果物や役務に対して契約するため、プロジェクト管理のアプローチも変わります。
本記事では両者の違いとメリット・デメリットを整理し、信頼できるSES企業を選ぶポイントと委託時の注意点を解説します。
SESと業務委託の違いとは
SESと業務委託の違いとは、前者が準委任契約でエンジニアの労務提供に報酬を支払う形態であり、成果責任は発注側に残る点です。
一方、業務委託(請負)は受託側が成果物完成の義務を負い、瑕疵担保や遅延ペナルティも契約で明確化されます。つまり、SESは指揮命令権を避けつつ工数を柔軟に確保する手法、業務委託は成果保証とリスク移転を重視する手法です。
さらに、偽装請負を防ぐには指揮命令系統を契約書で明示し定期監査を実施し、万一の責任面も確認することが肝要です。
SESに業務を委託するメリットとは
SESに業務を委託することには、いくつかの重要なメリットがあります。これから説明する要素が組み合わさることで、プロジェクトの効率性が向上し、迅速な対応が可能になります。
優秀な人材を確保しやすい
SESを利用すると優秀な人材を確保しやすくなります。SES企業はクラウドやAIなど最先端技術を扱うエンジニアを常時プールし、社内では採用が難しい専門人材でも短期間でアサイン可能です。
複数プロジェクトで経験を積んだ人材を投入できるため、立ち上げ時の学習コストを削減しプロジェクト成功率を高められます。
また、採用広告費や面接工数をかけず即戦力を得られる点は、開発スピードが競争力を左右する現場で大きな差別化要因となり、結果として投資回収も大きく早まります。
必要な時だけ契約できる
SESの大きな利点は必要な時だけ契約できる柔軟性です。繁忙期には人月を追加し、保守フェーズでは縮小するなど、リソースを機動的に最適化できます。
工数ベースの契約は労務費を変動費として扱えるため予算管理が容易で、要件変更に伴う手戻りリスクも低減可能です。
また、作業指示書を整備し指揮命令権の逸脱を防げば法的リスクを抑えつつスピード開発を実現できます。これにより資金繰りが厳しい組織でもキャッシュフローを守りながら高品質な開発を継続できます。
採用・教育コストがかからない
SESを活用すれば採用・教育コストを大幅に削減できます。求人広告や面接、研修にかかる時間と費用を省け、契約開始と同時に即戦力が稼働可能です。技術研修はSES企業側が実施するため社内研修費を研究開発へ回せます。
また、固定給や社会保険料も不要で、プロジェクト終了時に契約を停止できるため閑散期の人件費圧縮にも寄与します。結果として資本効率を維持しながら多案件展開が可能となり、採用ミスマッチによる早期離職リスクも避けられるため財務安全性が高まります。
頼むべきSES企業の特徴とは
SES企業を選ぶ際には、いくつかの重要な特徴を考慮することが大切です。これから解説する特徴に当てはまる企業かどうかをしっかり事前に見極めることが重要です。
口コミや評判がいい
SES企業を選ぶ際には、口コミや評判が非常に重要な指標となります。実際にその企業で働いたエンジニアや、サービスを利用したクライアントの声を参考にすることで、企業の実態を把握することができます。
特に、エンジニアのスキルや対応力、プロジェクトの進行状況についての評価は、企業の信頼性を測る上で欠かせません。
また、SNSや専門のレビューサイトを活用することで、より多角的な意見を収集することが可能です。良い口コミが多い企業は、エンジニアの定着率も高く、質の高いサービスを提供している傾向があります。
評価制度やキャリアパスの明確化に力を入れている
SES企業を選ぶ際には、評価制度やキャリアパスの明確化が重要なポイントとなります。優れたSES企業は、エンジニアの成長を促進するために、透明性のある評価基準を設けています。
これにより、エンジニアは自分のスキルや成果に基づいて適切な評価を受けることができ、モチベーションを維持しやすくなります。
また、キャリアパスが明確に示されていることで、エンジニアは将来の目標を設定しやすくなります。具体的な昇進のステップや必要なスキルが明示されている企業では、エンジニアが自らのキャリアを計画し、成長を実感しやすくなります。
社員研修や教育体制が整っている
SES企業を選ぶ際には、社員研修や教育体制が整っているかどうかも重要なポイントです。優れたSES企業は、エンジニアのスキル向上を重視し、定期的な研修や勉強会を実施しています。
これにより、最新の技術やトレンドに対応できる人材を育成し、クライアントに対して高品質なサービスを提供することが可能になります。
また、教育体制が充実している企業は、エンジニアが自らのキャリアを積極的に考える環境を整えているため、モチベーションの向上にもつながります。
結果として、クライアントにとっても安定した技術力を持つエンジニアがプロジェクトに関与することができ、信頼性の高い業務委託が実現します。
社員の平均勤続年数が長い
SES企業を選ぶ際に注目すべきポイントの一つが、社員の平均勤続年数です。長く働いている社員が多い企業は、職場環境や企業文化が良好であることが多く、エンジニアが安心して働ける環境が整っています。
これは、プロジェクトの安定性や品質にも直結します。継続的に同じメンバーでプロジェクトに取り組むことで、チームの結束力が高まり、効率的なコミュニケーションが可能になります。
また、長期的に働くことで、社員は企業のノウハウや技術を深く理解し、より高いレベルのサービスを提供できるようになります。したがって、SES企業を選ぶ際には、社員の平均継続年数を確認することが重要です。
SES企業に業務を委託する時の注意点
SES企業に業務を委託する際には、いくつかの注意点があります。これから説明する注意点を理解し、自社に最適なSES企業に業務を委託することが重要です。
契約期間中に開発が終わらない可能性がある
SES契約では、契約期間中に開発が終わらない可能性を常に想定する必要があります。作業は時間単価で計上されるため、要件変更や技術的課題で工数が膨らむと費用も連動して増大します。
対策として、着手前に成果物ごとのマイルストーンと受入基準を定義し、進捗率を可視化します。週次レビューで遅延の兆候を検知し、要員追加や優先度変更を即時協議すれば、予算と納期の逸脱リスクを低減できます。
さらに、延長契約時の単価や条件を事前合意し、交渉コストを抑えることも重要です。そのうえで、テスト工程を別契約に分割する選択肢も提示しておけば、開発が長引いた場合でも品質保証を担保しながら柔軟にスケジュールを調整できます。
コミュニケーションが複雑になる可能性がある
SES企業に業務を委託する際、コミュニケーションの複雑さが一つの課題となることがあります。特に、外部のエンジニアと自社のチームとの間で情報の共有や意思疎通がうまくいかない場合、プロジェクトの進行に支障をきたすことがあります。
例えば、業務の進捗状況や問題点を適切に伝えられないと、誤解やミスが生じやすくなります。また、SES企業のエンジニアが自社の文化や業務フローに慣れるまでに時間がかかることもあり、初期段階では特にコミュニケーションの摩擦が生じることが多いです。
このような状況を避けるためには、定期的なミーティングや進捗報告を設けることが重要です。双方の期待値を明確にし、オープンなコミュニケーションを促進することで、プロジェクトの円滑な進行を図ることができます。
自社のエンジニアが育たない
SES企業に業務を委託する際の注意点の一つに、自社のエンジニアが育たないという問題があります。外部のエンジニアに業務を依存することで、社内の技術力向上やスキルの蓄積が阻害される可能性があります。
特に、プロジェクトの重要な部分を外部に委託してしまうと、社内のエンジニアが実際の開発プロセスに関与する機会が減り、経験を積むことが難しくなります。
また、外部のエンジニアが持つ専門知識や技術が社内に伝わらない場合、長期的には自社の競争力が低下するリスクも考えられます。
したがって、SESを利用する際には、外部リソースを活用しつつも、自社のエンジニアが成長できる環境を整えることが重要です。
社内に開発のノウハウが溜まりづらい
SES企業に業務を委託する際の注意点の一つとして、社内に開発のノウハウが溜まりづらいという点が挙げられます。外部のエンジニアがプロジェクトに関与することで、社内のメンバーが直接的な経験を積む機会が減少します。
これにより、技術的な知識やスキルが社内に蓄積されず、長期的には自社の技術力向上に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、プロジェクトが終了した後に外部のエンジニアが退職してしまうと、得られた知見やノウハウがそのまま失われてしまうこともあります。
したがって、SESを利用する際には、社内のエンジニアが学べる環境を整えることや、外部のエンジニアとの情報共有を積極的に行うことが重要です。
支援実績やレビューを確認しておく
SES企業に業務を委託する際には、その企業の支援実績や顧客からのレビューをしっかりと確認することが重要です。
実績が豊富な企業は、さまざまなプロジェクトに対応してきた経験があり、特定の業界や技術に強みを持っている場合もあります。これにより、自社のニーズに合ったエンジニアを確保できる可能性が高まります。
また、顧客からのレビューや評価は、その企業の信頼性やサービスの質を示す重要な指標です。ポジティブなフィードバックが多い企業は、顧客満足度が高く、安心して業務を委託できるでしょう。
逆に、ネガティブなレビューが目立つ場合は、慎重に検討する必要があります。信頼できるSES企業を選ぶためには、これらの情報をしっかりと収集し、比較検討することが欠かせません。
まとめ
SESと業務委託は、それぞれ異なる特徴と利点を持つ外部リソース活用の手法です。SESは時間単価でエンジニアを雇用するため、柔軟な人材確保が可能ですが、業務委託は成果物に対して契約するため、プロジェクトの進行管理が重要になります。
どちらを選ぶかは、企業のニーズやプロジェクトの特性に応じて慎重に判断することが求められます。信頼できるSES企業を選ぶ際には、口コミや評判、教育体制などを確認し、長期的なパートナーシップを築くことが成功の鍵となります。

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