SESの上流工程とは?依頼するメリットや優良企業の特徴を解説

要件定義や設計といった上流工程のニーズが高まる中、従来のSESモデルでは応えきれないもどかしさを感じていませんか? エンジニアの市場価値を高めたい、でも育成もマッチングも難しい。
本記事では、SESにおける上流工程の定義や、企業側が期待するスキルセット、案件獲得・人材育成のリアルな課題までを整理。組織として「上流に強いSES」を目指すためのヒントや、参考資料もご紹介しています。
SESの上流工程とは
SESの上流工程とは、システム開発における初期段階のプロセスを指します。
具体的には、システムがどのような機能を持つべきか、どのような技術を用いるべきかを明確にし、プロジェクトの全体像を描く重要な役割を担っています。
近年、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、上流工程の重要性はますます高まっています。企業は競争力を維持するために、迅速かつ的確なシステム開発を求めており、そのためには上流工程での適切な判断が不可欠です。
SESのエンジニアに上流工程を依頼するメリット
SESのエンジニアに上流工程を依頼することには、いくつかの重要なメリットがあります。ここでは、各メリットについて解説します。
専門知識を持つ人材を活用できる
SESにおける上流工程の依頼は、専門知識を持つ人材を活用する大きなメリットがあります。
上流工程では、要件定義や設計といった重要なフェーズが含まれ、これらを適切に進めるためには、豊富な経験と専門的な知識が求められます。SES企業に所属するエンジニアは、特定の技術や業界に精通していることが多く、クライアントのニーズに応じた最適な提案を行うことが可能です。
例えば、特定の業界に特化したSES企業では、その業界特有の課題やトレンドを理解しているため、より的確な要件定義が行えます。
育成・採用コストがかからない
SESの上流工程において、エンジニアを外部から依頼する大きなメリットの一つは、育成や採用にかかるコストを削減できる点です。
企業が新たにエンジニアを採用する際には、求人広告の掲載費用や面接の手間、さらには採用後の研修や育成にかかる時間とリソースが必要です。これらのコストは、特に上流工程に必要な専門的なスキルを持つ人材を求める場合、さらに増大する傾向があります。
一方で、SESを利用することで、既に経験豊富なエンジニアを即戦力として活用できるため、これらのコストを大幅に削減できます。
SES企業は、専門知識を持つ人材を揃えており、即座にプロジェクトに参画できるため、企業は新たな採用や育成にかける時間を短縮し、より効率的に業務を進めることが可能です。
コア事業へ集中できる
SESの上流工程を外部に依頼することで、企業は自社のコア事業により多くのリソースを集中させることが可能になります。
特に、要件定義や設計といった上流工程は、専門的な知識や経験が求められるため、社内のリソースをこれらの業務に割くことは、時に大きな負担となります。
SESのエンジニアにこれらの業務を任せることで、企業は本来のビジネスに専念でき、競争力を高めることができます。
また、上流工程を専門とするSES企業は、豊富な経験と知識を持ったエンジニアを揃えているため、質の高い成果物を短期間で提供することが期待できます。これにより、企業は市場の変化に迅速に対応できるようになり、ビジネスの成長を加速させることができます。
上流工程に強いSES企業の特徴
上流工程に強いSES企業にはいくつかの共通した特徴があります。
口コミ・評判がいい
上流工程に強いSES企業の特徴の一つとして、口コミや評判の良さが挙げられます。特に、クライアントからの信頼を得ることは、SES企業にとって非常に重要です。
実際にプロジェクトを依頼した企業の声や、エンジニアの働きぶりに対する評価は、他の企業がそのSES企業を選ぶ際の大きな判断材料となります。
良い口コミが多い企業は、顧客満足度が高く、リピート案件が増える傾向にあります。これは、上流工程においても同様で、要件定義や設計段階でのコミュニケーションが円滑であることが、プロジェクトの成功に直結します。
クライアントのニーズを的確に把握し、柔軟に対応できる企業は、自然と良い評判を得ることができるのです。
上流工程の支援実績が豊富にある
上流工程に強いSES企業の特徴の一つは、豊富な支援実績を持っていることです。
具体的には、過去に多様なプロジェクトに携わり、成功裏に要件定義や設計を行ってきた経験がある企業が該当します。
実績が豊富な企業は、さまざまな業界やプロジェクト規模に対応してきたため、特定の業界に特化した知識やノウハウを持っています。このような専門性は、クライアントのニーズに対して的確な提案を行う上で非常に重要です。
社員の育成に力を入れている
上流工程に強いSES企業の特徴の一つとして、社員の育成に力を入れている点が挙げられます。
特に、要件定義や設計といった上流工程は高度な専門知識と経験が求められるため、企業は自社のエンジニアをしっかりと育成する必要があります。
具体的には、定期的な研修や勉強会を開催し、最新の技術やトレンドに関する知識をアップデートする機会を提供する企業が増えています。
また、メンター制度を導入し、経験豊富なエンジニアが若手社員を指導することで、実践的なスキルを身につけさせる取り組みも見られます。
元請け・二次請け案件が多い
上流工程に強いSES企業の特徴の一つとして、元請けや二次請け案件が多いことが挙げられます。
元請け案件とは、クライアントから直接受注したプロジェクトのことを指し、SES企業がプロジェクトの全体を管理する立場にあります。
これに対して、二次請け案件は、元請け企業から依頼を受けて実施するプロジェクトです。どちらの案件も、上流工程における専門的な知識や経験が求められるため、SES企業がこれらの案件を多く抱えていることは、その企業の信頼性や技術力の証とも言えます。
SESに上流工程で依頼できる仕事内容とは
SES(システムエンジニアリングサービス)における上流工程は、プロジェクトの成功に向けた重要なステップです。ここでは、各内容について解説します。
要件定義
要件定義は、システム開発における上流工程の中でも特に重要なプロセスです。
この段階では、クライアントのニーズやビジネス要件を明確にし、システムが満たすべき機能や性能を具体化します。
要件定義がしっかりと行われることで、プロジェクトの方向性が定まり、後の設計や実装においてもスムーズな進行が期待できます。
要件定義のプロセスには、ステークホルダーとのヒアリングやワークショップの実施、既存システムの分析などが含まれます。クライアントが抱える課題や期待する成果を深く理解し、具体的な要件として文書化します。この文書は、プロジェクト全体の指針となるため、正確かつ詳細に作成することが求められます。
基本設計
基本設計は、システム開発における重要な上流工程の一つであり、要件定義で明確にされたビジネスニーズを具体的なシステム仕様に落とし込むプロセスです。
この段階では、システム全体の構造や機能、データの流れ、インターフェースなどが設計され、開発チームが実装に向けての具体的な指針を得ることができます。
基本設計の主な目的は、システムの全体像を把握し、各コンポーネントがどのように相互作用するかを明確にすることです。
この段階での設計が不十分であると、後の詳細設計や実装段階で多くの手戻りが発生し、プロジェクト全体のコストや納期に悪影響を及ぼす可能性があります。
詳細設計
詳細設計は、システム開発における重要なプロセスであり、要件定義や基本設計を基にして具体的なシステムの構造や機能を明確にする段階です。
この工程では、システムがどのように動作するか、どのようなデータが必要か、またそれらのデータがどのように処理されるかを詳細に記述します。具体的には、データベースの設計、インターフェースの仕様、プログラムのモジュール設計などが含まれます。
詳細設計の段階では、エンジニアは技術的な視点からシステムの実現可能性を検討し、最適なアーキテクチャや技術スタックを選定します。
このプロセスにおいては、エンジニアの専門知識が非常に重要であり、適切な設計がなされることで、後の開発工程がスムーズに進むことが期待されます。
まとめ
SESの上流工程についての理解が深まったことでしょう。要件定義や設計といった上流工程は、プロジェクトの成功に直結する重要なフェーズです。
SESを活用することで、専門知識を持つエンジニアを効果的に活用でき、育成や採用にかかるコストを削減しつつ、コア事業に集中することが可能になります。
今後、SESを通じて上流工程のニーズに応えるためには、企業側もエンジニアのスキルセットや育成方法を見直し、より良いマッチングを目指すことが求められます。本記事が、上流に強いSESを目指すための一助となれば幸いです。

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