SESと派遣の違いとは?依頼するメリット・デメリットを解説

エンジニアの外部リソースを検討するとき、SESと派遣の違いがあいまいなまま話が進んでしまい、後から「想定と違った」と感じるケースは少なくありません。契約形態が異なれば、できること・できないこと、責任範囲や費用感も大きく変わってきます。
この記事では、SESと派遣の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、導入時に気をつけたいポイントまでをわかりやすく解説します。
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SESと派遣の違いとは
SESと派遣は、エンジニアを外部から調達する手段として広く利用されていますが、その契約形態や運用方法には明確な違いがあります。
まず、SESは特定のプロジェクトに対してエンジニアを提供するサービスであり、エンジニアはクライアントの指示に基づいて業務を遂行しますが、業務の進行や成果物に対する責任はSES企業にあります。
一方、派遣は、派遣会社が雇用したエンジニアをクライアントの指示のもとで直接業務に従事させる形態で、エンジニアの業務内容や指示はクライアントが行います。
このように、SESではエンジニアの業務遂行に対する責任がSES企業にあるため、クライアントはエンジニアの育成やスキルに対する期待を持つことができますが、派遣の場合は、エンジニアが直接クライアントの指示を受けるため、業務の進行に対する柔軟性が高いという特徴があります。
SESのエンジニアを活用するメリット
SESのエンジニアを活用することには、いくつかの大きなメリットがあります。ここでは、各メリットについて解説します。
必要なタイミングでリソースを確保できる
SESの最大のメリットの一つは、必要なタイミングでリソースを確保できる点です。
プロジェクトの進行状況や業務の変化に応じて、柔軟にエンジニアを追加したり、変更したりすることが可能です。
特に、短期間でのプロジェクトや急な人手不足に対応する際には、SESを利用することで迅速に必要なスキルを持ったエンジニアを確保できます。
育成された社員が派遣される
SESを利用する際の大きなメリットの一つは、育成された社員が派遣される点です。
SES企業は、エンジニアのスキル向上や専門知識の習得に力を入れており、実務経験を積んだ人材を提供しています。そのため、依頼企業は即戦力となるエンジニアを確保できるため、プロジェクトのスムーズな進行が期待できます。
また、SES企業はエンジニアの育成プログラムを整備していることが多く、最新の技術やトレンドに対応した教育を受けた人材が派遣されることが一般的です。
自社の目的に合ったエンジニアを確保しやすい
自社の特定のニーズに応じたエンジニアを確保しやすい点もメリットです。
SESでは、プロジェクトの内容や求めるスキルセットに基づいて、適切なエンジニアを選定することが可能です。
これにより、単に人材を補充するだけでなく、プロジェクトの成功に直結する専門的な知識や技術を持った人材を確保することができます。
派遣のエンジニアを活用するメリット
派遣のエンジニアを活用することには、いくつかの大きなメリットがあります。ここでは、各メリットについて解説します。
経験のある人材を確保できる
派遣のエンジニアを活用する大きなメリットの一つは、経験豊富な人材を迅速に確保できる点です。
特に、特定の技術や業務に精通したエンジニアを必要とする場合、派遣サービスを利用することで、即戦力となる人材を短期間で見つけることが可能です。
また、派遣エンジニアは通常、さまざまな企業やプロジェクトでの経験を持っているため、幅広い知識やスキルを活かして業務に貢献することができます。これにより、社内のメンバーが持っていない視点や解決策を提供してくれることも期待できます。
優秀な人材を雇用できる
経験豊富で優秀な人材を迅速に雇用できる点もメリットの1つです。
派遣会社は多くのエンジニアを抱えており、その中から企業のニーズに合ったスキルセットを持つ人材を選定して提供してくれます。
また、派遣エンジニアは通常、特定の技術や業務に特化した経験を持っているため、短期間で成果を上げることが期待できます。これにより、プロジェクトの進行がスムーズになり、納期を守るための大きな助けとなるでしょう。
エンジニアに直接指示できる
派遣のエンジニアを活用するメリットとして、企業側がエンジニアに直接指示を出せる点です。
SESの場合、エンジニアは外部の企業に所属しているため、業務の進行や指示の内容については、SES企業を通じて行う必要があります。
一方、派遣の場合は、エンジニアが直接自社のチームの一員として働くため、コミュニケーションがスムーズになり、迅速な指示が可能です。
この直接指示のメリットは、特にプロジェクトの進行が迅速に求められる場面で顕著です。例えば、急な仕様変更や問題発生時に、即座にエンジニアに指示を出し、対応を依頼することができます。
SESのエンジニアを活用するデメリット
SESを利用する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。ここでは、各デメリットについて解説します。
契約期間中にプロジェクトが完了しないことがある
SESを利用する際のデメリットの一つとして、契約期間中にプロジェクトが完了しない可能性があります。
SES契約では、エンジニアが特定のプロジェクトに従事することが前提となりますが、プロジェクトの進行状況や内容によっては、契約期間内に目標を達成できないケースが出てきます。
例えば、プロジェクトの要件が変更されたり、予期せぬ技術的な課題が発生したりすることがあります。これにより、当初の予定よりも作業が長引くことがあり、結果として契約期間が終了してもプロジェクトが未完了のままとなることがあります。
コミュニケーションが複雑化する
SESのエンジニアには、直接的な指示を行うことができないため、コミュニケーションが複雑化する点が挙げられます。
SES契約では、エンジニアはクライアントのプロジェクトに参加するものの、実際の業務指示はSES企業の管理者を通じて行われるため、クライアントがエンジニアに対して直接的な指示を出すことができません。
結果として、情報伝達に時間がかかったり、意図が正確に伝わりにくくなったりし、プロジェクト進捗に影響する可能性が高くなります。
派遣のエンジニアを活用するデメリット
派遣エンジニアを活用する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。各デメリットについても解説します。
契約内容により業務が限定的になる
派遣エンジニアを活用する際のデメリットの一つとして、契約内容によって業務が限定的になる点が挙げられます。
派遣契約は、通常、特定の業務やプロジェクトに対して結ばれるため、エンジニアが担当できる業務範囲が明確に定められています。
このため、派遣されたエンジニアは契約に記載された業務にのみ従事することが求められ、柔軟な対応が難しくなることがあります。
人材のミスマッチが起こる可能性がある
人材のミスマッチが起きる可能性がある点は、デメリットと言えます。
派遣契約では、企業が求めるスキルや経験を持ったエンジニアを派遣会社が提供しますが、実際に派遣される人材が企業のニーズに完全に合致するとは限りません。
また、派遣エンジニアは短期間での契約が多いため、企業の文化やチームのダイナミクスに馴染む前に契約が終了してしまうこともあります。
契約期間に制限がある
派遣エンジニアを活用する際のデメリットの一つとして、契約期間に制限があることが挙げられます。
派遣契約は一般的に短期間での契約が多く、プロジェクトの進行状況やニーズに応じて、契約更新が必要になることがあります。
このため、長期的なプロジェクトにおいては、派遣エンジニアが契約期間の終了とともに離脱してしまうリスクが存在します。
また、契約期間が定められているため、企業側はその期間内に成果を上げる必要があります。これがプレッシャーとなり、エンジニアにとってもストレスの要因となることがあります。
SESと派遣に依頼すべき企業の特徴とは
SESと派遣のエンジニアを活用する際には、それぞれの特徴を理解し、自社のニーズに合った選択をすることが重要です。ここでは、「SESに依頼すべき企業の特徴」と「派遣エンジニアに依頼すべき企業の特徴」についてそれぞれ紹介します。
SESに依頼すべき企業の特徴
SESを利用することが適している企業には、いくつかの共通する特徴があります。
まず、プロジェクトの内容が明確で、特定の技術やスキルを持ったエンジニアが必要な場合です。SESでは、クライアントのニーズに応じた専門的な技術者を派遣するため、特定の技術領域に強いエンジニアを確保しやすくなります。
次に、プロジェクトの期間が長期にわたる場合もSESの利用が推奨されます。SES契約は通常、長期的なプロジェクトに対応するための柔軟性を持っており、必要に応じてエンジニアのスキルをアップデートしたり、チームを拡張したりすることが可能です。
さらに、社内にエンジニアリングチームが存在し、プロジェクト管理や指示を行う体制が整っている企業もSESを利用するメリットが大きいです。
派遣エンジニアに依頼すべき企業の特徴
派遣エンジニアを活用することが適している企業にはいくつかの特徴があります。
まず、短期間で特定のプロジェクトを完了させる必要がある企業です。派遣エンジニアは、即戦力としてすぐに業務に取り組むことができるため、急な人手不足やプロジェクトの立ち上げにおいて非常に有効です。
次に、特定のスキルや経験を持った人材が必要な場合も、派遣エンジニアの活用が推奨されます。特に、特定の技術や業界に精通したエンジニアを求める企業にとって、派遣はそのニーズに応える手段となります。
さらに、社内のリソースが限られている企業も、派遣エンジニアを利用するメリットがあります。自社の社員だけでは対応しきれない業務量や専門性が求められる場合、派遣エンジニアを導入することで、効率的に業務を進めることができます。
まとめ
SESと派遣の違いについて理解することは、エンジニアの外部リソースを効果的に活用するために重要です。
それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社の状況やプロジェクトの特性に応じて適切な選択をすることが求められます。
最終的には、企業のニーズやプロジェクトの特性に応じて、SESと派遣のどちらが最適かを見極めることが、成功への鍵となります。この記事を通じて、SESと派遣の違いを理解し、適切なリソースを選択する手助けとなれば幸いです。

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