賃金台帳の書き方とは?記載項目や必要な知識を徹底解説!

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賃金台帳の書き方とは?記載項目や必要な知識を徹底解説!

賃金台帳は労基法で作成・保存が義務づけられている従業員ごとの賃金記録です。記載漏れや様式の不備があれば、是正勧告や罰則を受ける恐れがあります。

本記事では、法律で定められた必須項目と書き方のポイントをわかりやすく解説し、効率的に作成・管理する方法までご紹介します。

さらに、厚生労働省のテンプレートや表計算ソフト、クラウド給与システムを活用した実務的な作成手順もあわせて紹介しますので、初めて担当する方でも安心です。

賃金台帳の書き方に規定はあるのか

賃金台帳の作成に関しては、労働基準法に基づく明確な規定があります。具体的には、企業は従業員ごとの賃金を正確に記録し、保存することが義務づけられています。

この法律に従わない場合、記載漏れや様式の不備が生じると、是正勧告や罰則を受けるリスクがあるため、注意が必要です。

賃金台帳は、単なる記録ではなく、労働者の権利を守るための重要な文書です。したがって、企業は法律に従った適切な書き方を理解し、実践することが求められます。

賃金台帳に関する基本的な知識

賃金台帳は、企業が従業員の賃金を正確に記録し、管理するための労働基準法に基づいた文書です。このセクションでは、賃金台帳が必要になるシーンや対象者、さらに給与明細との違いについて解説します。

賃金台帳が必要になるシーンとは

賃金台帳は、企業が従業員の賃金を適正に管理・記録するために不可欠な書類であり、労働基準法第108条により作成・保存が義務付けられています。具体的には、新たに従業員を雇用した際や、給与体系を変更する場合に必ず整備する必要があります。

また、労働基準監督署による立ち入り調査や是正勧告が行われた際には、賃金台帳の提出を求められることが一般的です。この際、適切に管理されていない場合は法令違反と見なされ、企業にペナルティが科される可能性もあります。

さらに、従業員から賃金に関する問い合わせやトラブルが発生した場合にも、賃金台帳は重要な証拠資料となります。

賃金台帳の対象者とは

賃金台帳の対象者は、企業に雇用され賃金を受け取る全ての従業員です。正社員はもちろん、パートタイマー、アルバイト、契約社員、さらには短期間の臨時雇用者も含まれ、雇用形態や勤務時間に関わらず記録義務が発生します。

労働基準法では、賃金を支払う全ての労働者について賃金台帳を作成し、3年間の保存が義務付けられています。これにより、適正な賃金支払いが行われていることを証明でき、万が一のトラブル時にも企業を守る役割を果たします。

賃金台帳の整備は、企業のコンプライアンス強化だけでなく、従業員の安心感にも繋がる重要な管理業務です。

賃金台帳と給与明細の違いとは

賃金台帳と給与明細は、いずれも賃金管理に関わる重要な書類ですが、その役割と目的は大きく異なります。賃金台帳は労働基準法に基づき企業が作成・保管する義務がある法的書類であり、従業員ごとの賃金支払い状況を長期的に記録・管理することを目的としています。

保存期間は3年間と定められ、労働時間、基本給、各種手当、控除額など詳細な情報が記載されます。一方、給与明細は毎月の給与支給時に従業員へ交付する書類で、当月の支給額や控除内容を明示し、従業員に対して賃金計算の内訳を説明する役割を担います。

給与明細には法定の交付義務はありませんが、労使間の透明性を確保するために多くの企業で発行されています。

賃金台帳に記載すべき項目とは

賃金台帳には、従業員の賃金に関する重要な情報が記載される必要があります。具体的には、氏名や性別、賃金の計算期間、労働日数や労働時間、時間外労働や深夜労働、休日労働の時間、基本給や手当の種類とその額、さらに控除の項目とその額などが含まれます。

氏名・性別

賃金台帳において、氏名と性別は基本的かつ重要な記載項目です。氏名は従業員を特定するために必要不可欠であり、正確に記載することが求められます。特に、同姓同名の従業員がいる場合には、氏名の正確性が重要です。

また、性別の記載は、労働条件や賃金の分析を行う際に役立ちます。これらの情報は、労働基準監督署からの確認や、賃金に関するトラブルを避けるためにも、正確に記入することが大切です。

賃金の計算期間

賃金台帳において「賃金の計算期間」は非常に重要な項目です。この期間は、従業員が実際に働いた日数や時間に基づいて賃金が計算されるため、正確に記載する必要があります。

一般的には、月単位で設定されることが多く、例えば「2023年4月1日から2023年4月30日まで」といった形で明記します。

計算期間を明確にすることで、従業員が自分の労働に対する報酬を理解しやすくなり、適正な賃金支払いを行うことができます。

労働日数・労働時間

賃金台帳における「労働日数・労働時間」の記載は、賃金計算の根幹を成す重要な項目です。労働日数は従業員が実際に勤務した日数を示し、労働時間は日々の実働時間を正確に記録します。

また、出勤状況を把握することで、過重労働の防止や労働時間の適正管理にも役立ちます。特に、変形労働時間制やフレックスタイム制を導入している企業では、労働時間の記録ミスが賃金トラブルに直結するため、注意が必要です。

時間外労働時間

賃金台帳には、時間外労働時間を正確に記載することが求められます。時間外労働とは、法定労働時間を超えて働いた時間を指し、通常の賃金に加えて割増賃金が支払われるため、正確な記録が重要です。

具体的には、各従業員の時間外労働の実績を月ごとに集計し、何時間働いたのかを明確に示す必要があります。この情報は、労働基準監督署の調査や、労働者からの問い合わせに対する証拠としても役立ちます。

深夜労働時間・休日労働時間

賃金台帳には、深夜労働時間や休日労働時間の記載も重要です。深夜労働とは、通常の労働時間を超えて、午後10時から午前5時までの間に行われる労働を指します。この時間帯に働いた場合、通常の賃金に加えて割増賃金が支払われるため、正確な記録が求められます。

また、休日労働は、法定休日に行われる労働を指し、こちらも割増賃金が適用されます。賃金台帳には、これらの労働時間を明確に記載し、適切な賃金計算を行うことが必要です。

基本給や手当などの種類とその額

賃金台帳には、従業員に支払われる基本給や各種手当の詳細を正確に記載することが求められます。基本給は、労働契約に基づいて支払われる基本的な賃金であり、通常は月額や時給で表されます。

一方、手当には様々な種類があり、例えば通勤手当、住宅手当、家族手当などが含まれます。これらの手当は、従業員の生活を支えるために重要な要素であり、賃金台帳においてはその額も明確に記載する必要があります。

控除の項目とその額

賃金台帳には、従業員の賃金から控除される項目も正確に記載する必要があります。主な控除項目には、所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料などがあります。これらの控除は、従業員の給与から自動的に差し引かれるため、正確な額を記載することが求められます。

控除額は、従業員の給与や扶養家族の有無、社会保険の加入状況によって異なるため、最新の税率や保険料率を確認し、適切に計算することが重要です。

賃金台帳を書く時の注意点

賃金台帳を作成する際には、いくつかの重要な注意点があります。これから説明する注意点を理解し、正しい賃金台帳を作成しましょう。

必須項目に抜け漏れがないようにする

賃金台帳を作成する際は、労働基準法で定められた必須項目に抜け漏れがないよう細心の注意を払うことが重要です。

氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間、時間外・深夜・休日労働時間、基本給や手当、控除額など、全ての項目を正確に記載する義務があります。

記載漏れや誤記があると、労働基準監督署の調査で是正勧告を受ける可能性があり、悪質と判断された場合は罰則の対象となることもあります。特に中小企業では、担当者の知識不足から記載漏れが発生しやすいため、チェックリストを活用した確認作業が有効です。

給与明細などで代用しない

賃金台帳は労働基準法により作成・保存が義務付けられている公式な帳簿であり、給与明細や他の書類で代用することは認められていません。

給与明細は従業員ごとに毎月発行される支給内容の通知書であり、法的保存義務のある賃金台帳とは目的も性質も異なります。

賃金台帳には、賃金支給額だけでなく、労働日数や時間、各種手当・控除の詳細が一元管理されており、労働基準監督署の調査やトラブル発生時に重要な証拠資料となります。

給与明細を流用すると、必要項目が不足し法令違反となるリスクが高まります。適切なフォーマットで賃金台帳を作成・管理することで、企業は法令遵守を果たし、従業員との信頼関係を維持できます。

賃金台帳がない場合、罰則の対象となる可能性がある

賃金台帳は労働基準法第108条により作成・3年間の保存が義務付けられているため、未作成や不備がある場合は法令違反となります。

労働基準監督署の調査で台帳の未整備が発覚すると、是正勧告が出され、従わない場合には30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、重大な違反と判断されれば企業名が公表されることもあり、信用失墜に繋がります。

さらに、賃金台帳が存在しないと従業員からの未払い賃金請求や労務トラブルに対して適切な対応ができず、法的リスクが高まります。企業は法令遵守の観点から、必ず賃金台帳を正確に作成・保管し、定期的に内容を見直すことが重要です。

賃金台帳は何で作ればいいのか

賃金台帳の作成には、いくつかの方法があります。これから説明する方法を活用し、自社に合った最適な手段を選びましょう。

厚生労働省のテンプレートを使う

賃金台帳を作成する際に、厚生労働省が提供するテンプレートを利用することは、法令遵守を確実にするうえで非常に有効です。

このテンプレートは、労働基準法で定められた必須項目が網羅されており、初めて作成する場合でも安心して使用できます。

テンプレートを利用することで、記載漏れや誤記を防ぎつつ、労働基準監督署の調査にも対応できる整備された台帳が作成できます。もし気になる方は、以下のリンクからダウンロードをすることができます。

参考:厚生労働省_主要様式ダウンロードコーナー

表計算ソフトを使う

ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトは、賃金台帳の作成・管理において高い柔軟性と効率性を提供します。数式や関数を活用することで、労働時間や賃金、控除額の自動計算が可能となり、手作業によるミスを大幅に削減できます。

また、企業独自のフォーマットを簡単に作成できるため、業種や運用ルールに応じたカスタマイズが自在です。

クラウド型の表計算ソフトを利用すれば、複数担当者による同時編集や、リアルタイムでのデータ共有も実現でき、テレワーク環境にも対応可能です。さらに、過去のデータ管理や集計作業も容易で、労働基準監督署からの指摘にも迅速に対応できます。

会計ソフトで作成する

会計ソフトを活用して賃金台帳を作成することで、給与計算から台帳作成までの業務を一元化し、効率的に管理することが可能です。

多くの会計ソフトは、労働基準法に準拠したフォーマットを備えており、勤怠データや給与情報を自動で反映させる機能が搭載されています。これにより、手入力の手間や計算ミスを防ぎ、正確な賃金台帳を短時間で作成できます。

また、税金や社会保険料の改定にも自動対応するため、常に最新の法令に基づいた運用が可能です。さらに、クラウド型ソフトを利用すれば、場所を選ばずデータ管理ができ、バックアップ体制も万全です。

まとめ

賃金台帳は、従業員の賃金に関する重要な記録であり、法律に基づいて正確に作成・保存することが求められます。記載項目や作成方法を理解することで、労働基準法に則った適切な管理が可能となります。

また、厚生労働省のテンプレートや表計算ソフトを活用することで、効率的に賃金台帳を作成することができます。これらの知識を活かし、安心して賃金台帳の管理を行いましょう。

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