SESの市場規模はどれくらい?業界全体の将来性やSES市場に携わるメリットを紹介

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SESの市場規模はどれくらい?業界全体の将来性やSES市場に携わるメリットを紹介

企業がデジタル化やシステム活用の重要性を認識したことから、IT投資が10年以上前から盛んに行われています。そして、現在もIT市場は順調に成長し、将来的にも有望な市場と見込まれています。この状況下で、SES市場はどのように展開していくのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、SES(システムエンジニアリングサービス)事業の市場規模や将来性、SES企業で働く際のメリット・デメリットについて詳しく解説します。SES市場の現状と将来性を把握し、SES企業での働き方について理解を深めましょう。

SESの市場規模はどれくらい?

矢野経済研究所の「2022国内企業のIT投資実態と予測」によれば、2021年度時点で国内の民間IT市場(SES市場を含む)の規模は13兆5,500億円でした。同報告によると、2023年以降はテレワークの普及による基幹システムの更新やデータ活用の取り組みが活発化することで、2024年度には同市場の規模が14兆6,000億円に達すると予測されています。

しかし、民間IT市場の拡大に伴い、IT人材の不足が現在の課題となっているのも事実です。経済産業省の「IT人材白書」によれば、2030年までに約40万人から約79万人のIT人材が不足する可能性が指摘されています。

SES市場に携わる3つのメリット

IT市場が着実に成長を続ける中で、SES事業にエンジニアとして参加することには以下の3つのメリットがあります。

・数多くの案件に携われる

・技術を幅広く学べる

・社外とのつながりが生まれる

それぞれのメリットについて解説します。

数多くの案件に携われる

SES事業に参加すると、多くの案件に関与し経験を積めます。

SESエンジニアは、案件が発生するとSES契約に基づいて、さまざまなクライアント先で勤務することになります。そして、業務が完了した後は、また新しい案件を受けて業務を続けることになるのです。

このような特徴から、SES事業に関わることで、さまざまな現場で数多くの案件に携わる機会が得られるでしょう。

技術を幅広く学べる

SES事業に関わることで、多岐にわたる技術を学べます。

現場や案件によって、同じプログラミング言語を使うこともありますが、フレームワークやツールの違い、環境の違いが存在します。そのため、SESエンジニアとして働くことで、広範な技術を学ぶ機会が広がるでしょう。

さらに、学べるのは技術に留まらず、業界に関する知識も身につけられます。クライアントが所属する業界の動向や業務内容、業務のフローを理解することは、正確に業務を遂行するために不可欠です。

そのため、SES事業に携わることで、自然と業界知識も身につき、エンジニアとしての価値を高められるのです。

社外とのつながりが生まれる

SES事業に携わることで、社外の人とのつながりが生まれます。

SESエンジニアは、さまざまな現場で経験を積めます。そのため、経験した現場の数だけ関わる人々も増えるため、社外の人とのコネクションも築きやすくなるでしょう。

社外の人々とのコネクションを築いておけば、将来的に転職や独立をする際にも役立ちます。

SES市場に携わる際の注意点

メリットの多いSES事業ですが、中には以下のような注意点もあります。

・自分が希望する案件に携われない可能性がある

・自社への帰属意識が薄くなる

それぞれの注意点について確認していきましょう。

自分が希望する案件に携われない可能性がある

SESエンジニアとして働く場合、自分が希望する案件に必ずしも携われるとは保証されていません。

一般的に、SES企業はクライアントのニーズに合ったSESエンジニアを選ぶことが多いです。そのため、通常のSESであればエンジニア自身が案件を選べません。自分の技術やほかのSESエンジニアの稼働状況によって、望む勤務地や待遇、業界、業務内容の案件に携われない場合もあります。

ただし、新SES企業ではこの問題が解消されています。

新SES企業では、従来とは異なるアプローチが取られており、ITエンジニア自身が案件を選べる「案件選択制度」や、クライアントから提示された単価を基準として昇給などが決まる「単価評価制度」が導入されているのです。これにより、より自分の希望に合った案件に携わることが可能です。

自社への帰属意識が薄くなる

SESエンジニアとして働く場合、自社(所属元のSES企業)への帰属意識はあまり強く感じられないことがあります。

通常、SESエンジニアはクライアント先に常駐し業務を行います。そのため、自社内での勤務は少なく、自社の社員と接する機会も限られるでしょう。その結果、自社の一員としての帰属意識が薄れてしまうことがあります。

このような事態を防ぐためには、評価制度がしっかりしていたり、まめに面談を行っていたりするSES企業に勤めることがおすすめです。SESエンジニアとこまめに関わりを持とうとしているSES企業であれば、エンジニア側も帰属意識を持ちやすくなります。

SES市場に将来性はある?

2023年現在、SES市場は大企業や官公庁の大規模開発ニーズなどによって支えられ、堅調に成長しています。一方で、簡易な小規模システムやソフトウエアの開発ニーズの一部は、クラウドサービスやRPA(Robotic Process Automation)によって置き換えられつつあります。

以下のポイントを掘り下げながら、市場の将来動向について詳しく説明していきましょう。

・大企業や官公庁の需要がある

・フリーランスエンジニアを活用していくケースが増える

・クラウドサービスの利用により、簡易システム開発の必要性が下がる可能性がある

大企業や官公庁の需要がある

SES契約は通常、大手企業や官公庁が大規模な開発プロジェクトに利用する傾向があります。そのため、大規模開発におけるSES契約の需要は将来にわたって期待できるでしょう。

最近では、デジタル化やDX化の進展、データ活用の増加、そして新型コロナウイルスによる非対面サービスの需要の増加などがあり、SES市場における開発案件は増加傾向にあります。これらの分野で大規模な開発が行われる場合、SES企業やSESエンジニアは非常に重要な存在となる可能性が高いです。

また、現在のIT人材不足の状況を考えると、SES業界は今後も市場規模を維持または拡大すると予想されます。需要と供給のギャップが依然として存在しているため、SES市場は一定の安定性を持ち続けるでしょう。

フリーランスエンジニアを活用していくケースが増える

SES業界では、より幅広い人材を提供するために、フリーランスエンジニアと協業するSES企業が増加しています。これらの企業は自社でエンジニアを雇用するのではなく、フリーランスエンジニアと提携し、クライアント先で業務をしてもらう仕組みを採用しています。

近年の働き方改革や副業解禁の流れにより、フリーランスエンジニアの需要は増加しているのです。そのため、将来的にはさらに多くのSES企業がフリーランスエンジニアと協力し、案件を遂行していくことが予測されます。

なお、一般的にSES企業で雇用されるエンジニアとフリーランスのエンジニアで対応できる業務内容に大きな違いはありません。両者は同様のプロジェクトに携わり、同じような役割を果たすことが一般的です。

クラウドサービスの利用で、簡易システム開発の必要性が下がる可能性がある

IT市場とSES市場は両方とも好調であり、将来的な成長が期待されています。ただし、中規模開発や小規模開発、簡易なシステムやソフトウエアの開発については、クラウドサービスやRPA(Robotic Process Automation)による置き換えが進む可能性があります。

企業が自前でカスタマイズしたシステムを開発する場合、そのコストは高額になることが多いです。そのため、多くの企業がテンプレート化された汎用性の高いシステムを必要な範囲で利用し、コストを抑えています。

このような背景から、中規模開発や小規模開発、簡易な開発においては、SESの利用は今よりも減少する可能性があると考えられているのです。ただし、システムの導入や維持管理を自社で行う必要があるため、その部分でSESを利用したり、新しい業務対応の需要が生まれたりする可能性もあるでしょう。

SES市場で将来性のある会社の特徴とは

多くのエンジニアは、将来性のある企業で働きたいと考えています。では、将来性のあるSES企業とは、どのような特徴を持っているのでしょうか。考えられる特徴は以下の2つです。

・安定して社員数が増加している

・スキルマップの作成や勤怠管理など、評価制度が整っている

それぞれ解説します。

安定して社員数が増加している

IT業界では、人材不足が続く中、安定して社員数を増やしているSES企業は、エンジニアたちから高い関心やよい評判を集める将来性のある企業といえます。

社員数が増えている理由のひとつは、企業が明確なインセンティブを提供している環境が整っているためです。働く意欲を引き出すような環境が整備されていると、優れたエンジニアたちは離職せずにその企業に定着する可能性が高まります。

IT業界は現在、需要に対して供給が追いつかない売り手市場です。そのため、年収やスキルアップの機会など、エンジニアたちが求める要素を提供できない場合、避けられる可能性があります。逆に、適切なフォローアップや案件選択制度、単価評価制度などを備えた新しいSES企業はエンジニアたちに選ばれやすいでしょう。

スキルマップの作成や勤怠管理など、評価制度が整っている

スキルマップの作成や勤怠管理など、人事や評価の制度が整備されているSES企業も、将来性のある企業の特徴といえます。将来性のある企業は、優れたエンジニアを育成し、長期間にわたって勤務してもらう工夫をしています。

また、日経BPコンサルティングが行った調査によれば、約60%の会社員が人事評価制度に不満を抱いているようです。この不満の原因としては、「人事評価基準の明確さの欠如」「評価者による評価のバラつき」「適切な評価が昇給や昇進に反映されないこと」などが挙げられています。こうした不満が放置されると、不公平感が生じ、エンジニアのモチベーションが低下し、優秀なエンジニアが離職する可能性が高くなります。

そのため、人事や評価制度が整っているSES企業は、エンジニアにとって働きやすく、将来性のある企業といえるのです。

SES市場の将来性を知り、自分に合った選択をしよう

IT市場全体、とくにSES市場は順調に成長しています。市場の拡大とIT人材の不足から、SES市場は将来性があるといえるでしょう。

ただし、簡易なシステムやソフトウエアの開発ニーズは、クラウドサービスやRPAによって徐々に置き換えられつつあります。したがって、SESエンジニアとして働くなら、大規模開発の案件を受けられる競争力のあるSES企業に所属することがおすすめです。

また、競争力のあるSES企業は、エンジニアにとって働きやすい環境を整えていることが多いです。例えば、Fairgrit®は、SESエンジニアの勤怠管理や適切なフォローを行うためのSaaSツール。成長するSES市場・SES企業のバックオフィス業務を支えています。所属するSES企業がこうした最適なツールを導入しているかどうかも、きっと、将来性のある会社を選ぶことにつながるでしょう。

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