欠勤控除とは?適用ケースやよくあるトラブルについて解説!

欠勤控除とは、従業員が欠勤・遅刻・早退などで実際に働かなかった時間分を給与から差し引く仕組みです。
体調不良や自己都合による早退は控除対象となる一方、年次有給休暇や産休・育休など法令で保護された休暇は対象外です。
本記事では、欠勤控除の基本概念と計算方法、適用・非適用の具体例、就業規則に盛り込むべきポイント、そして従業員と起こりがちなトラブル事例と防止策までをわかりやすく解説します。
INDEX
欠勤控除とは
欠勤控除とは、従業員が欠勤、遅刻、早退などで実際に働かなかった時間分を給与から差し引く仕組みを指します。この制度は、企業が従業員の労働時間に基づいて公正な給与を支払うために重要です。
具体的には、体調不良や自己都合による早退が控除の対象となりますが、年次有給休暇や産休・育休など、法律で保護された休暇は控除の対象外です。欠勤控除の適用は、企業の就業規則に基づいて行われます。
欠勤控除の計算方法
欠勤控除の計算方法は、基本的に従業員の給与から欠勤した時間分を差し引く形で行われます。具体的には、月給制の場合、月給を所定労働時間で割り、その結果に欠勤時間を掛け算することで控除額を算出します。
例えば、月給が30万円で、所定労働時間が160時間の場合、1時間あたりの給与は約1,875円となります。もし、従業員が8時間欠勤した場合、控除額は15,000円(1,875円×8時間)となります。
また、時給制の場合は、欠勤した時間にその時給を掛けるだけで控除額が決まります。計算がシンプルであるため、従業員も理解しやすいのが特徴です。なお、欠勤控除の計算にあたっては、就業規則に基づくルールを遵守することが重要です。
欠勤控除になるケースとは
欠勤控除が適用されるケースには、主に体調不良による欠勤や自己都合による早退、さらには裁判員に選ばれたことによる欠勤が含まれます。これらの状況では、実際に働かなかった時間分が給与から差し引かれることになります。
体調不良のよる欠勤
体調不良による欠勤は、欠勤控除が適用される代表的なケースの一つです。従業員が風邪やインフルエンザ、その他の病気にかかり、出勤できない場合、その欠勤時間は給与から差し引かれることになります。この場合、欠勤控除の計算は、欠勤した時間や日数に基づいて行われます。
ただし、体調不良による欠勤が長期化する場合、企業は従業員の健康状態を考慮し、適切な対応を検討する必要があります。
例えば、医師の診断書を求めたり、休職制度を利用することが考えられます。従業員の健康を守るためにも、企業は柔軟な対応を心がけることが重要です。
裁判員に選ばれ欠勤
裁判員に選ばれた場合、従業員は法律に基づき欠勤扱いとなります。この場合、基本的には欠勤控除は適用されません。裁判員制度は国民の義務であり、選ばれた従業員はその職務を果たすために勤務を休む必要があります。したがって、裁判員としての出席は法的に保護された理由となり、給与からの控除は行われないのが一般的です。
ただし、裁判員としての出席が必要な場合は、事前に会社に通知することが求められます。そのため、会社へ事前に報告しないと欠勤控除の対象となります。報告を事前にしておくことで、会社側も適切な対応を取ることができ、従業員の権利が守られることになります。
自己都合による早退
自己都合による早退は、欠勤控除が適用される典型的なケースです。私用や急用、体調不良などで定時前に退勤した場合、その時間分の給与は控除されるのが一般的です。
企業は就業規則に早退の取り扱いを明記し、控除単位(30分単位など)や報告手順を定めておくと混乱を防げます。従業員も業務への影響を最小限にするため、早退の必要がある場合は早めに上司へ相談し、業務調整を行う姿勢が望まれます。
欠勤控除が適用されないケースとは
欠勤控除が適用されないケースには、主に休職期間、年次有給休暇、産休・育休期間が含まれます。これらの休暇は法令で保護されており、従業員が安心して利用できる権利として認められています。
休職期間
休職期間中は、欠勤控除の対象外となります。これは、従業員が病気や怪我、またはその他の理由で一時的に働けない状態にある場合に適用される制度です。
休職は、通常、医師の診断書や会社の規定に基づいて認められるものであり、従業員の権利として保護されています。このため、休職中の給与は基本的に控除されることはなく、企業は従業員の生活を支えるために一定の給与を支給する義務があります。
ただし、休職の理由や期間によっては、給与の支給方法や金額が異なる場合があるため、就業規則に明記しておくことが重要です。
年次有給休暇
年次有給休暇は、労働基準法に基づいて従業員に与えられる権利であり、労働者が一定の条件を満たすことで取得できる休暇です。
この休暇は、従業員が心身のリフレッシュや家庭の事情に対応するために重要な役割を果たします。欠勤控除の対象外であるため、年次有給休暇を取得した場合、給与からの控除は行われません。
つまり、従業員は有給休暇を利用することで、給与を減らされることなく、必要な休息を取ることができます。
産休・育休期間
産休や育休は、法律によって保障された重要な休暇です。この期間中、従業員は出産や子育てに専念することができるため、企業はこの休暇に対して欠勤控除を適用することはできません。
具体的には、産前産後休暇は出産予定日から前後に設定され、育児休業は子どもが1歳になるまでの期間が対象となります。これらの休暇は、労働基準法や育児・介護休業法に基づいており、従業員の権利としてしっかりと保護されています。
したがって、企業はこの期間中の給与を減額することなく、従業員が安心して育児に専念できる環境を整えることが求められます。
欠勤控除をする時の注意点
欠勤控除を実施する際には、いくつかの重要な注意点があります。これから説明するポイントを押さえることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
欠勤控除のルールを就業規則を明確しておく
欠勤控除の条件や計算方法を就業規則に明記することは、従業員の不安や誤解を防ぎ、給与トラブルを未然に防ぐ上で不可欠です。
控除対象となる欠勤の種類、計算単位(日単位・時間単位)や適用除外の休暇(有給・特別休暇など)を具体的に記載することで、従業員は自身の給与計算を正しく理解できます。
制度改正時には速やかに規則へ反映し、説明会や社内通知を通じて周知徹底を図ることが重要です。さらに、社内ポータルで規則を随時確認できる環境整備や、疑問点が生じた際に迅速対応できる相談窓口の設置も、安心して働ける職場づくりに繋がります。
残業代の取扱いについて明確にする
欠勤控除時の残業代の取り扱いは、特に複雑で誤解を招きやすいため、就業規則や賃金規程に具体例を交えて明記することが重要です。
同じ日に欠勤と残業が発生するケースや、変形労働時間制・フレックスタイム制の下での処理方法を明確化しないと、従業員との認識違いによるトラブルが発生しやすくなります。
月次締め後の精算ルールや、割増賃金の算出基準を事前に説明し、従業員が納得感を持てるようにすることが円滑な運用に繋がります。定期的な研修やマニュアル整備も有効です。
税金の扱いを確認する
欠勤控除によって給与が減額されると、所得税・住民税・社会保険料に直接的な影響が生じます。
特に控除適用月の手取り額変動や、年末調整時の過不足が発生する可能性があるため、企業は事前にその仕組みを理解し、従業員へ丁寧に説明することが求められます。
扶養控除や住民税特別徴収額に差異が生じた場合は、速やかに通知を行い誤解を防ぐことが重要です。社労士・税理士との連携を強化し、税務署の指導に従った適正な処理を実施することで、将来的なトラブル回避に繋がります。
欠勤控除で従業員とよくあるトラブルとその対策法
欠勤控除に関するトラブルは、従業員と企業の間でしばしば発生します。これから説明するよくあるトラブルには対策法を講じることが必要になるので、ぜひ参考にしてください。
欠勤控除について就業規則に記載がない
欠勤控除に関する規定が就業規則に明記されていない場合、従業員との間でトラブルが発生する可能性があります。
例えば、欠勤時の給与減額の基準が不明確であると、従業員が不安や不満を抱くことがあります。このような事態を防ぐためには、就業規則に欠勤控除の具体的な内容や計算方法を明記し、従業員に周知徹底することが重要です。
明確なルールがあれば、従業員も自分の権利や義務を理解しやすくなり、トラブルを未然に防ぐことができます。
欠勤時間より多く控除されている
欠勤控除に関するトラブルの一つに、実際の欠勤時間よりも多くの時間が給与から控除されているケースがあります。このような問題は、従業員にとって大きな不満の原因となり、信頼関係を損なう恐れがあります。
多くの場合、控除額の計算ミスや、就業規則における不明瞭なルールが原因です。このトラブルを防ぐためには、まず就業規則に欠勤控除の具体的な計算方法を明記し、従業員に周知することが重要です。
また、給与計算を行う際には、欠勤時間を正確に記録し、確認するプロセスを設けることが求められます。これにより、誤った控除が行われるリスクを軽減し、従業員との信頼関係を維持することができます。
まとめ
欠勤控除は、従業員の欠勤や遅刻、早退に対して給与から差し引く重要な制度です。適切に運用することで、従業員との信頼関係を築くことができます。
欠勤控除の適用ケースや計算方法を理解し、就業規則に明確に記載することがトラブルを防ぐ鍵となります。
法令で保護された休暇についても十分に配慮し、従業員が安心して働ける環境を整えることが求められます。今後も欠勤控除に関する知識を深め、適切な運用を心がけましょう。

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